これに対して10月に10倍の濃度のマンガン-54を検出した地下水観測孔No.1-6の深さは16メートルです。
とすると、深い場所にあった高濃度のマンガン-54を含む地下水が、別の系統の地下水と混ざり合いながら、徐々に薄められながら護岸近くで水位を上げていって、ついには深さ3メートルのウェルポイントから汲み出されたということなのでしょうか。
机上の理屈なら、このように考えたくなります。しかし、周辺に幾つも設置されているその他の観測孔では、大きな意味を示すような変動は示されていないのです。それどころか11月6日採取の地下水観測孔No.1-6の分析結果では、マンガン-54は検出限界以下となっています。
マンガン-54はどこから来て、どこへ行ったのか。
「疑問解決」どころか謎は深まるばかりです。
この先、ウェルポイントや観測孔の放射性物質濃度は高まるかもしれません。逆に低くなることもあるでしょう。しかし、数値の高低よりもさらに大きな問題なのは、高濃度に汚染された地下水の挙動がまったくと言っていいほど理解されていないということだと思います。
もしも数値が高まっても、これまでのパターンでは徐々に低下して、何もなかったような平静な状態に戻ることが多かったと感じます。しかし、いったん高い数値を示した汚染地下水は、どこかに消えたわけではないのです。
目で見ることができない地面の下で、予想不能な動きを続ける汚染された地下水。
絶望的な気持ちになりそうなくらいな状況だと思いますが、現場の人達には粘り強く対応を続けてほしいと願います。私たちも、数値が下がったから大丈夫などと安易に考えることなく見守っていきます。
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