秋の全国火災予防運動が始まりました! ~後編・対処について~

11月9日から11月15日までの期間で「秋の全国火災予防運動」が行われています。全国火災予防運動は年2回、春と秋に行われ、火災予防の普及を図ることにより、被害を小さくすることを目的としています。

秋の全国火災予防運動にあたり、前編で「火災の予防」について調べました。後編では「火災が発生した際の対処」を中心に調べてみます。

火災発生時の対処について

火災を発生させないことに越したことはありません。しかし、万が一出火してしまった場合は、原則として次の3つの対応を行うことが基本とされています。

<火災発生時の3原則>
1. 早く知らせる
2. 早く消す
3. 早く逃げる

上記について、それぞれ調べてみました。

1. 早く知らせる

出火した場合は躊躇せずにいち早く周りに知らせることが大切だそうです。知らせることにより、消火作業や119番通報などを手伝ってもらうことができるほか、近くにいる方に危険を知らせるという意味もあります。大きな声で知らせることができない状態でしたら、鍋などを叩いて知らせるといいそうです。もしもの時のために笛を備えておくのもいいかと思います。

119番通報を早くにするに越したことはありませんが、身の安全を確保することが大前提とされています。初期消火できないほどの大きな火元の場合は、まず安全な場所へ避難した後に通報します。

119番通報をした際に聞かれることは、
1.「火事」、「救急」どちらの通報か
2.火災の発生場所(※住所)
3.何が燃えているか
などがあるそうです。

2. 早く消す

火災が発生した際、自分で消火が可能と判断でき、且つ避難経路が確保されている場合は初期消火活動を行います。初期消火が可能かどうかは「炎が天井に達しているか」がひとつの目安になると言われています。火が横へ移動している間は火を消すことができますが、炎が天井に達するレベルになると一般の個人では消化が極めて困難になるそうです。

天井に達するまでの時間は状況によるものの、およそ2分半前後と言われています。出火してから1~2分位までならば、自分で初期消火できる可能性が高いそうです。ちなみに5分経つと隣の部屋まで火が移り、通常の木造家屋の場合は約20分ほどで全焼すると言われています。

消火活動は消火器で行うことが基本です。消火器は大きく分けて、粉末系消火器、水・泡系消火器、ガス系消火器の3種類があり、火災の火元の種類によって有効性が異なっているそうです。家庭で消火器を備える場合は、普通火災、油火災、電気火災などすべてに使用可能な「ABC粉末消火器」が推奨されています。消火器の種類、使用法などの詳細については、後日調べてご紹介できればと考えています。

消火器がない場合は「座布団で火を叩く」、「水を濡らしたシーツやタオルをかぶせる」などで消火を試みます。火を消す際に注意が必要なものに「水」があります。「火」に対しては「水」が有効という認識を持っていたのですが、水は布団、木材、紙などが燃えている場合には効果的なものの、天ぷら油、石油などに対してかけると大変危険とのことです。なんでも、高温の油に水をかけると炎が急激に大きくなるそうです。

火元別の消火方法について、浦安市の「防災の手引き」が大変わかりやすいのでご紹介します。

■ストーブ
・消火器は直接火元に向けて噴射する。石油ストーブの場合は粉末消火器で。
・消化器がない場合は、水にぬらした毛布などを手前からすべらせるようにかぶせ、空気を遮断する。

■電気器具
・コンセントかブレーカーを切り、粉末消火器で消火する。泡消火器などは感電のおそれがあるので使用しないように。

■カーテン・ふすま・障子
・カーテンなどは上に燃え広がる前の対処が重要。火がついたら、引きちぎってから消火しよう。
・ふすまや障子などはけり倒し、足で踏んで消す。その後、水をしっかりかけて消火する。

■コンロ
・油なべの場合、水をかける、マヨネーズや野菜を入れるのは厳禁。
・粉末消火器はなべの全面を覆うように、強化液消火器はなべのふちに向け噴射する。
・消火器がない場合は、ぬらしたシーツやバスタオルを手前からかぶせ、空気を遮断する。

■たき火
・消火器を使う。消火器がない場合は水をかける。水の準備ができないときは、近くのほうきや木でたたいて消し、その後、水をしっかりかけて消火する。

引用元:備えよう!火災対策 [(実践編)初期消火は出火直後に!] |浦安市防災のてびき|

その他、火が衣服に移った時は転げまわるといいそうです。立った状態では炎が勢いよく上に燃え広がり、全身やけどになってしまいます。髪の毛に燃え移った時は、化学繊維以外の衣類やタオルなどを頭からかぶるといいと言われています。

コンロの使用中に、油なべから出火した場合の対処法について、横浜市消防局のWEBサイトに写真入りで実用的な説明がありますのでご紹介します。

少しでも早く、火災を知らせるために住宅用火災警報器の設置は重要です。消防庁が公表している平成25年版「火災の実態」によると、火災警報器の音で火災を発見した出火のうち、約75%は「ぼや」で消し止められているそうです。

現在、火災警報器設置は義務付けられていますが、まだ設置されていない場合はホームセンターや家電量販店などでも購入できます。

「早く逃げる」の前に煙の特性について

「火災発生時の避難」の前に、まず最初に煙の特性について調べたことをご紹介したいと思います。火災において「炎」以上に恐ろしいとも言われているのが「煙」だそうです。火災による死亡原因の内訳をみると、火傷と共に最も死亡原因の高いものが一酸化炭素中毒や窒息によるものです。

出典元:消防庁・消防白書

煙の特性として「まず上方に広がる」、「視界を塞ぐ」、「多くの有毒ガスを含んでいる」などがあるそうです。煙の広がるスピードは、横方向へは0.3m/s~1.0m/s、上方向へは3.0m/s~5.0m/sほどと言われています。これは、横方向へは人が歩く程度、上方向へは駆け足程度の速さです。横方向への煙は逃げることも可能ですが、上方向への煙からは逃げることができません。

煙には一酸化炭素などの様々な有毒ガスが含まれています。一酸化炭素は木材やプラスティックが燃えた時に発生し、無色無臭だそうです。そのため自覚することがほとんどないまま一酸化中毒になり、昏睡状態に陥るそうです。気を失うのは一酸化炭素の濃度と吸っている時間が関係し、濃度が濃い場合は一息吸っただけで気を失うと言われています。

3. 早く逃げる

次に「火災発生時の避難」についてです。避難する際は、燃えている部屋のドアや窓を閉め、服装や持ち物にこだわらずできるだけ早く避難することが前提です。

避難する際の注意点について、浦安市及び柏市消防局のWEBサイトに詳しく書かれているのでご紹介します。

○複数の避難経路をイメージしておく。宿泊施設等を利用する場合は事前に確認しておく。エレベーターは使わない。

○上階からの出火の場合は落ち着いて階段を使って下へ逃げる。

○下階からの出火の場合は外階段を使って逃げる。外階段がない場合(内階段の場合)は階段内部の煙・匂いがないことを確認してから避難する。もし、階段が使えない場合は階段室のドアをしっかり閉めて煙の流入を防ぎ、窓から助けを求めたり、携帯電話を使用して現在位置を連絡する。(※一戸建ての2階に、寝室などがある場合は緊急時避難用の縄はしごもあるので有効かと思います。)


○屋上に避難した場合は風上側に逃げて、携帯電話で連絡するなどして助けを求める。

○煙の中を逃げるときはタオルで口をおおい、できるだけ低い姿勢で室内なら壁づたい、廊下なら中央をにげる。(※ナイロン製の袋に空気を入れてかぶれば1分半は呼吸できるそうです)

○炎の中を抜けざる得ない場合は、もし水があれば頭から水をかぶり、ぬれたタオルや衣類などで顔を覆って一気にかけ抜ける。濡れたシーツがあれば、体全体を覆って走り抜けるのが効果的。

○地下街にいる場合は、壁際に身をよせて煙からすばやく逃げる。出口は約60mごとにある。

以上、避難時の主な注意点です。いったん避難したら再び中には戻らないようにします。一度逃げられたにも関わらず、火災現場に戻って命を落とすケースも少なくないそうです。

秋の全国火災予防運動は15日まで続きます!

以上、「火災発生時の対処」について調べてご紹介しました。火災はいつでもどこでも発生する可能性がある災害です。人の過ちによる出火以外にも、地震などでも発生する恐れがあります。常日頃、火災に対して備えることは言うまでもないかもしれませんが、全国火災予防運動の期間中にもう一度、予防や対処について考えてみるのもいいかもしれません。

参考WEBサイト