海への排出は実施目前か。地下水バイパス揚水井の状況を伝える項目が新設される
5月17日(土曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。
多核種除去装置(ALPS)A系で白濁。処理運転を停止
※多核種除去設備(ALPS)A系については処理運転中のところ、5月17日の定例のサンプリングにおいて、系統水に若干の白濁があること、カルシウム濃度が高いことを確認。このため、多核種除去設備(ALPS)A系について、同日午前9時00分、処理運転を停止し、循環待機運転に切り替えた。原因等については、今後調査予定。
4月24日発生の指挟み事故の続報
5月16日、受診した福島労災病院より診断書が発行され「右小指末節骨開放骨折」と診断された。
1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
加えて、タービン建屋地下からの高濃度滞留水の移送について記載
・1号機タービン建屋地下→1号機廃棄物処理建屋へ高濃度滞留水を移送中(平成26年5月17日午前9時29分~)
2号機
1号機と同じ4項目に加え、
タービン建屋からの高濃度滞留水の移送について記載
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送中(平成26年5月17日午前9時57分~)
3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年4月24日午前10時34分~)
加えて使用済燃料プールの冷却停止について記載
<最新の作業実績>
5月17日午前11時7分起動(起動後の温度:24.4℃)
4号機~6号機
新規事項なし
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備の状況
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
地下水バイパス揚水井の状況
※地下水バイパス揚水井No.1~12のサンプリングを継続実施中。
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
地下水バイパスについての新項目が設定されました。いよいよ地下水排出目前の模様。
焼却工作建屋の水位、焼却工作建屋西側サブドレン水の分析結果
<最新の集中廃棄物処理施設各建屋水位>
各建屋内の滞留水の深さについては、常設水位計による監視において、プロセス主建屋への移送後の水位と比較し、焼却建屋では1.8cmの上昇。引き続き監視を継続。
5月17日午後2時現在の各建屋深さ
・焼却建屋:深さ19.4cm(4月14日移送停止後と比較し、1.8cm増)
・工作建屋:5月16日午前10時30分、回収作業が完了。
<最新のサブドレン水サンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
<最新のパトロール結果>
5月16日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側の状況
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機サブドレン観測井の状況
今回新たに設置した4号機原子炉建屋(山側)のサブドレン(N14)のガンマ核種、全ベータ、トリチウム(5月15日採取)の分析を実施。
セシウム134が0.92Bq/L。セシウム137が2.6Bq/L。全ベータが検出限界値未満(検出限界値:11Bq/L)。トリチウムが11,000Bq/L。
トリチウム濃度の分析結果については、他の建屋周辺地下水の値に対して高めだが、全ベータ放射能濃度が検出限界値未満となっていることから、地下水を採取してから分析するまでの過程において、放射性物質が混入した可能性も含めて後日再分析を実施予定。今後も引き続き監視を継続する。
地下貯水槽の状況
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年5月17日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: