2014年4月22日 今日の東電プレスリリース

クレーン車作業中に断線・停電。再発防止は作業員の責任追及ではなく、作業体制の整備と配電の多重化で対応してほしい。さらに重篤なのは共用プールのエリアモニタ3台が3日間にわたり欠測し続けたこと

4月22日(火曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。

作業中クレーン車による断線事故。モニタリングポスト、PHSのバックアップ電源、駐車場照明電源が停電

※4月21日午後1時20分頃、J1タンクエリアにおいて作業を実施していたクレーン車が、旋回中に構内配電線の電線と接触して断線させた。

修理のため同日午後3時46分に、当該配電線の電源を停止。

これにより、モニタリングポストNo.7,8およびPHSのバックアップ用電源、駐車場照明電源が停電。

モニタリングポストの電源は常用電源から供給されており、測定に影響はなく、また、当該配電線からは、プラント設備(原子炉注水設備、使用済燃料プール冷却設備、水処理設備、滞留水移送設備等)に電源供給しておらず、プラントへの影響はない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月22日

クレーンや重機による電線への接触事故防止は工事の基本。しかしそれを完全に防止することはまず不可能。大きな影響がなかったのは不幸中の幸い。しかし、重要な配電線のバックアップなど、もしもに備えることが重要。

工事作業による断線・停電は2月25日に発生した地下ケーブルの損傷で4号機の燃料プール冷却が停止して以来。

共用プール建屋の空間線量を測定する3台のエリアモニタが、3日間にわたり欠測していたことが分かる

※共用プール建屋に設置してあるエリアモニタ*(3台)について、4月22日午後1時45分頃、欠測していることを確認。

当該エリアモニタについては、4月19日から4月21日の3日間、1日に1回の線量当量率の測定が出来ていなかった。

なお、4月22日、手サーベイによる当該エリア周辺の測定を行い、欠測前の値と比較し、有意な変化がないことを確認している。

・共用プール建屋3階オペレーティングフロア
4月18日: 1.9μSv/h
4月22日: 1.8μSv/h
・共用プール建屋1階監視操作室
4月18日: 11.0μSv/h
4月22日: 7.0μSv/h
・共用プール建屋1階キャスク保管エリア
4月22日: 20.0μSv/h

当該エリアモニタが欠測した理由については、今後調査を実施する。

*エリアモニタ:当該エリアの雰囲気線量を測定する装置

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月22日

欠測した理由よりも、3日間にわたって欠測状態だったことがチェックされず、この日になってようやく確認された理由について検証を行ってほしいです。

1号機~6号機

新規事項なし

◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送中(平成26年4月18日午後4時39分~)

◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年4月21日午前9時34分~)

◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

共用プール・水処理設備および貯蔵設備の状況

新規事項なし

◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

※ 新規事項なしですが、上記のとおり3台のエリアモニタが3日間にわたって欠測

◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)停止中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中

焼却工作建屋の水位、焼却工作建屋西側サブドレン水の分析結果

タービン建屋から移送された高濃度滞留水を、誤って焼却建屋に移送した件で、常時監視と焼却工作建屋西側のサブドレン水の分析結果を報告。

<最新の集中廃棄物処理施設各建屋水位>
各建屋内の滞留水の深さについては、常設水位計による監視において、プロセス主建屋への移送後の水位と比較し、焼却建屋では0.4㎝の上昇。工作建屋では水位に変化はなかった。引き続き監視を継続。
4月22日午後2時現在の各建屋深さ
・焼却建屋:深さ18.0cm(4月14日移送停止後と比較し、0.4cm増)
・工作建屋:深さ5.0cm(4月14日移送停止後と比較し、変化なし)

<最新のサブドレン水サンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月22日

H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果

◆最新のパトロール

<最新のパトロール結果>
4月21日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。また、堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による水位監視(警報監視)においても異常がないことを確認。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月22日

◆H4エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月22日

◆H6エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月22日

1~4号機タービン建屋東側の状況

新規事項なし

1~4号機サブドレン観測井の状況

1~4号機建屋に隣接した井戸(サブドレンピット)内の溜まり水から放射性物質が検出されたのを受けて、流入経路を確認するための観測井戸を設置し確認を行っている。

新規事項なし

地下貯水槽の状況

サンプリング実績を記載

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月22日

以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年4月22日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太