セシウム処理装置の運転を、誤移送滞留水が溜まる焼却工作建屋にあるキュリオンに切り替え。直接処理への布石かも
4月21日(月曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。
1号機~2号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送中(平成26年4月18日午後4時39分~)
3号機
1号機と同じ4項目に加え、
タービン建屋からの高濃度滞留水の移送について記載。
高温焼却炉建屋への移送を停止し、プロセス主建屋への移送再開を報告。
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を実施。(平成26年4月18日午後4時6分~平成26年4月21日午前9時22分)
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年4月21日午前9時34分~)
4号機~6号機
新規事項なし
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備の状況
◆共用プール
新規事項なし
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
2種類あるセシウム吸着装置のうち、第二セシウム吸着装置(サリー)の運転を停止し、焼却工作建屋にあるセシウム吸着装置の運転に切り替えたことを報告。
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)停止中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
※集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)の止水対策効果確認のため、4月21日午前8時26分に第二セシウム吸着装置(サリー)を一時停止。
なお、同装置の停止に伴い、同日午前9時52分にセシウム吸着装置を起動し、午前10時2分に定常流量に到達。
セシウム吸着装置の構成
・セシウム吸着装置:米キュリオン社製(焼却工作建屋に設置)
・第二セシウム吸着装置(サリー):東芝+米ショー社(高温焼却炉建屋に設置)
・除染装置:仏アレバ社(プロセス主建屋に設置)
いずれもそれぞれの建屋1階に設置され、セシウムとヨウ素の分離を担っている。それぞれ単体もしくは組み合わせて運転可能とされる。
焼却工作建屋の水位、焼却工作建屋西側サブドレン水の分析結果
タービン建屋から移送された高濃度滞留水を、誤って焼却建屋に移送した件で、常時監視と焼却工作建屋西側のサブドレン水の分析結果を報告。
<最新の集中廃棄物処理施設各建屋水位>
各建屋内の滞留水の深さについては、常設水位計による監視において、プロセス主建屋への移送後の水位と比較し、焼却建屋では0.2cmの上昇。工作建屋では水位に変化はなかった。引き続き監視を継続。
4月21日午前6時現在の各建屋深さ
・焼却建屋:深さ17.8cm(4月14日移送停止後と比較し、0.2cm増)
・工作建屋:深さ5.0cm(4月14日移送停止後と比較し、変化なし)
<最新のサブドレン水サンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
<最新のパトロール結果>
4月20日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。また、堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による水位監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側の状況
サンプリング実績を記載
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機サブドレン観測井の状況
1~4号機建屋に隣接した井戸(サブドレンピット)内の溜まり水から放射性物質が検出されたのを受けて、流入経路を確認するための観測井戸を設置し確認を行っている。
新規事項なし
地下貯水槽の状況
サンプリング実績を記載
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年4月21日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: