自然の中で遊んでほしい
11月9日、いわき市久之浜の小学生たちが伊豆へやってきた。6月に田植え体験にきたこども達を含む約20人。到着早々、長旅の疲れもなんのその、たわわに実ったイネに飛びつくようにして、鎌で刈る、刈る。刈った束を2束+2束でまとめて稲わらでギュッと縛っていく。
いわき市は米どころ。放射能に負けない米作りを進める農家の人たちもいるところ。だけど、こども達の農業体験はずっとやっていないそう。言葉にすべきかどうかちょっと悩んだけれど、「久之浜の小学校からクルマで5分も行けば、田んぼがあるのにね」と言うと、「地元では体験できないことだから、伊豆にご招待いただいてとてもありがたいんですよ」と引率のお母さんが応えてくれた。
稲刈りした後の田んぼには、びっくりするほどたくさんのカエルがぴょんぴょん跳ねていた。水がなくてもカエルはいっぱい。小さなこども達は何匹も何匹もつかまえて、小さな手のひらに包み込む。
「ねえ、ねえ、このカマキリのたまご、いつもの年よりずっと高い場所に産み付けられているんだって。どういう意味だか分かる?」
ボランティアのお姉さんと一緒に女の子たちがやってくる。
「カマキリのたまごって、その年の雪の深さより高いところに産み付けられるんだよ。ってことは・・・」
イネの根っこから計ってたまごの位置は40センチくらい。
「うそー、伊豆はそんなに雪は降らないよ」
田んぼがプチ自然教室に変身する。
餅もうどんも作って食べて!
9日の午前中は上々のお天気だったけど、みんなが到着した頃は曇り空。それでも富士山が雲の上に頂上をちょっとだけ見せてくれたのは、日頃の行いの賜物、なんて大人たちの言葉、よく分からな~い。でも天気がいまいちなのは困る。稲刈りの後は夕暮れまで目一杯遊ばなければ!
いまにも降り出しそうな雨雲が、ぽつりともしずくを落とさなかったのは、やっぱり日頃の行いの賜物? ホテルに戻ったら雨が降り出したけど、翌朝も外遊びした間は雨が降らず、お昼ご飯時にまた降り出したのも、やっぱり賜物? とにかく、スーパーお天気運の良いこども達なのだった。
お昼ご飯もみんなで作ったよ。まずはこれ、名物伊豆うどんをのばしてます。
うどんの生地をつくるなんて、もちろん初めて。生地にさわるのも初めて。
「ちょっと柔らかくて、冷たかった」
「粉はさらさらだったよ」
5人でのばした後、機械で裁断したらうどんのできあがり。
できあがりって言ったって、まだ茹でてない生なんだけど、
「食べられるんだよ」と教えたら、
うそーと言いながらもペロリ。
「ちょっとしょっぱいけど、美味しい!」
そりゃそうだ、だって自分たちでつくったうどんなんだもん!
引き続き、恒例の餅つきだ!
今回は小さい子が多かったから、つき上がるかちょっと心配だったけど、
ほぼ全員で、よいしょ! ぺったん、よいしょ! ぺったん。
つき立てのアツアツをハフハフ。黄粉、砂糖醤油、大根おろしのトリコロールな味わいを楽しみました。
昼食を終えて、もう福島に帰るバスの時間なんだけど、ぎりぎりまで遊ぶ。ボランティアのバルーンお兄さんにおねだりの嵐。
伊豆の空の下にやってきて、つむじ風のように遊んで、食べて、また遊んで。なぜか、外で遊ぶ時間にはほとんど雨に降られることもなく、「元気良すぎるんじゃない!」ってテンションを2日間持ち続けたこども達。いっしょに遊んで楽しかった~。でも、いつもあの勢いで遊んでいるのかな。それとも、プチツアーで伊豆にやってきて、普段以上に羽を伸ばしたってこと?
どっちにしても、ちょっとだけ心配に思えたり、でもやっぱり元気が基本だよなとバイバイの握手を交わしながら思ったり。稲刈りツアーの主催者は、「知り合ったらみんな仲間だ」と言っているけど、ホントにそうだよなあと思う。また会いたいもんね。
こんどは久之浜で会おう!
えっ、来ることあるの?
おぉ、あるよ。石井魚屋さんやあかもの屋さんにもよろしくね。
ニコッと笑ってくれたあの笑顔。宝物がまた増えてしまった。
●TEXT+PHOTO:井上良太
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