ご当地グルメによる町おこしの祭典「B-1グランプリ」。11月9日・10日の2日間、愛知県豊川市で開催された第8回目大会で、浪江焼麺太国（なみえやきそばたいこく）がついに念願のゴールドグランプリを受賞しました！

なみえ焼きそばは約半世紀の歴史を有する浪江町のソウルフード。その最大の特徴はとにかく太っとい麺。ふつうの焼きそば用中華麺の3倍はあるといわれる太さです。具材はもやしと豚肉のみ。シャキシャキのもやしの食感と豚肉のうま味を引き立てる、濃厚な甘口ソースで味付けされたアツアツの焼きそばに、一味唐辛子や一味にんにくをかけて食します。

そのPR活動に奮闘している浪江焼麺太国のホームページが何ともすごい。

ホームページのあちこちに登場する、赤と金のマントに身を包み、お皿から焼きそばをお箸で掴み上げた様子を再現したサンプルをナポレオンみたいな帽子の上に載せ、手には「宝剣おてもと」という割り箸型の名刀を提げて颯爽と登場する人物、彼こそが浪江焼麺太国太王さまなのです。

なみえ焼きそば検麺（認証）の印

コスチュームそのものからしてギャグのかたまりのような太王さまですが、駄洒落のような掛詞がいろいろなところにちりばめられています。メンバーと言うべきところはすべて「麺バー」だし、合言葉はもちろん「ソっ～すね！」。そもそも大国や大王を「太国」「太王」と書くのだって、極太麺にあやかってのネーミング違いないでしょ。

認定店で焼きそばが盛り付けられるのは、地元の伝統工芸である大堀相馬焼による「馬九行九（うまくいく）なみえ焼そば」のお皿。右に出るものがいないと縁起が良いとされる左馬が9頭描かれています。郷土愛ですね。

ナポレオン風コスチュームの太王さまとカップリングしているコスプレが、なぜかビン入りの一味唐辛子というのも、「みんなと仲間」という意味の「一味」に掛けたもの。最近公開された ご当地体操 「君も一味だ！なみえ焼そば体操」の冒頭にもしっかりこのフレーズが登場します。（この体操動画は必見ですよ）

体操の歌詞を、冒頭のちょっとだけご紹介します。楽しくて、ちょっと涙の味がして、でも頑張るぞーって感じでラジオ体操が続いていくのです。

しかも公式ブログなどの中で太王は、「目標は国民1億人」なんて野望まで公言しています。浪江町民のみならず、日本中みんなが浪江焼麺太国の一味（国民）ということなのです。

太国は2008年、震災以前から人口が減少傾向にある中、浪江町商工会青年部が中心となって建国。2009年からはB-1グランプリの活動をスタートし、2010年11月浪江町で東北４大やきそばサミットinなみえも開催。これからますます盛り上げて行こうと夢をふくらませていた中で東日本大震災を迎えました。

震災と原発事故でメンバーが全国に散り散りになってしまった中、それでも太国は11月の第6回B-1グランプリin姫路への参加を決意。住民もメンバーもばらばらになっている中、活動を続ける決意をしたのはなぜなのか――。

それこそが浪江焼麺太国の物語のエッセンス！ 映画の紹介でストーリーを最後まで言わないのと同様、みなさん自身で経験していただきたい。ホームページや公式ブログをたどっていくと、たくさんのメッセージとたくさんの物語に出会えるでしょう。もちろん東北各地のイベントで、実際に食すのが一番です。ぜひ！

最後にひとつだけ、受賞後に太王こと代表の八島貞之さんが語ったということばを新聞記事からご紹介。

麺バー店舗がいつどこのイベントに出店するかや、他地域でお店を開いて浪江焼麺太国の「目標国民1億人」を進めているお店などの情報も、太国ホームページの「新着情報」にある、

「浪江焼麺太国○月度麺動計画」

にバッチリ掲載されています。
東北のみなさん、東北へお出かけのみなさん、要チェックですよ！

なみえ焼きそばが悲願のゴールドグランプリを受賞したB-1グランプリ。2014年秋のグランプリは福島県郡山市で開催されることに。

たくさんの人が訪れて、福島復活の起爆剤になるといいですね。

●TEXT：井上良太