柳田國男の「遠野物語」のふるさと、遠野。
座敷童(ざしきわらし)や山神山人、そしてカッパ。山に囲まれた静謐な空間には、
民話の世界がそのまま息づいています。
遠野駅周辺の道を歩くだけでも、
日本の原風景のような景色の中にひたれますよ。
あー、なんでこんなに心地よいんだろう。
遠野の魅力をざっと知るのにおすすめは市立博物館。
駅から南へまっすぐ、南部神社の森を目指して歩いていけば、
ほんの10分ほど。
館内では、遠野の民話の映像や、歴史、民具、お祭りなど、
遠野のさまざまな姿に出会えます。
夏の遠野で外せないのは、やっぱりカッパ淵。
駅からだとクルマで15分ほど。観光協会でレンタサイクルを借りれば約30分。
常堅寺というお寺の裏のこんもりとした森の中、カッパが住む川が流れています。
遠野のカッパは、ほんのり赤い顔をしているのが特徴とか。
かつて村人にいたずらして捕まえられた後、もういたずらはしないと約束して、
放免されたと言い伝えられています。
夏休み期間中は、カッパ釣りに興じるこどもたちの歓声がとぎれません。
ベンチに座って川風に当たっているだけでも気持ちいいですよ。
そして、カッパ淵と駐車場を結ぶ農道もまたいいんです。
遠野はホップの一大産地です。
カッパ淵への道にもホップ畑。遠野のホップはキリンビールの
「一番搾り とれたてホップ生ビール」に使われるんだとか。
民話のさとのちょっと意外な風景かも。
駐車場にも「つっこみどころ」がいっぱいです。
なにせ、「カッパ直売所」なる施設があるのです。
カッパを直売しているのか、カッパが直売しているのか??
カッパ直売所は、顔をはめなくてもいいワザありな顔ハメ看板の隣です。
ご自身の目で確かめてみてくださいね。ぜひぜひ。
ジンギスカン、ひっつみ、馬肉など、遠野には特徴的な食文化があります。
ひっつみは小麦粉でつくった団子を薄く伸ばしたもの。すいとんの一種と言われます。
遠野のひっつみは鶏の出汁が特徴。
駅前通りのやおちゅうさんでいただいた「ひっつみそば」は、
ひっつみとお蕎麦がドッキングしたおトクで美味しい一品でした。
甘く漬け込んだ鶏肉、牛蒡、キノコ、ニンジンなどふんだんな野菜。
そして、厚さ4ミリくらいかな、ほどよい食感の厚さに仕上げられたひっつみ。
是非ものですよ。
遠野から海辺の町々へ
遠野は古くから、盛岡や花巻などの内陸部と、
沿岸の町々を結ぶ中継地として栄えてきました。
大槌、釜石、大船渡、陸前高田。
いずれの町にも古くからの街道が伸び、
クルマを使えば1時間~1時間半ほどで行くことができます。
遠野と沿岸の町をセットにしてめぐる旅もおすすめです。
遠野市
岩手の沿岸部へのゲートウェイ
●TEXT+PHOTO:井上良太(ライター)
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