東北、この一枚。(1)南三陸・志津川のタコ

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2013年7月18日(撮影:下重健児)
2013年7月18日(撮影:下重健児)

昔は西の明石、東の志津川って言われてね。ここで獲れるタコはほとんどが東京に直送だったのさ。それがあの津波の後、タコが獲れなくなった――。

南三陸に入ると、いろいろな場所でタコのオブジェを目にする。有名な仮設商店街「さんさん商店街」だってタコだらけ。顔出し看板(観光地でよく見かける顔をはめて写真撮影する看板)までタコなんだから。

津波で船も漁具も流されたけれど、タコは南三陸の人たちの「郷土の誇り」のひとつであることは変わらない。

仮設の水産関連施設が並ぶ志津川漁港。テント素材の荷捌き場で作業しているおじさんたちに近づいていって見てみたら、巨大なタコ!

「西の明石、東の志津川って言われてた頃に獲れてたのはマダコ。いま水揚げされているのはミズダコ。200メートルくらいの深さで獲れんの。」

このミズダコは加工用だとか。素早く活き〆にして、大きなアルマイトのバットに一盃ずつ収められていく。

生で見るミズダコは驚くほど大きい。
「3メートルくらいの大物もあるよ。」
とおじさんは教えてくれた。
「それじゃ、これはどれくらい?」

質問への答えの代わりのサービスショットが冒頭の一枚。

大きくても味はいいんだ。
ミズダコの方が刺身にすると美味いんだよ。
タコしゃぶもいけるんだ。
タコはとっても顔は撮るなよ。

テントの外には南三陸の被災地の光景。
広い荷捌き場には海とともに生きていく男たちの大きな声が響く。

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●TEXT:井上良太(ライター)

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