ここ石巻市の門脇(かどのわき)エリアには、たくさんの白い花が咲いていた。海水に浸かって、植物が育ちにくくなった土地で花を咲かせているのは、シロツメクサ(クローバー)。枯草の中にこんもりと群生して、撤去されずに残された住宅の基礎が見えなくなるくらい茂っている。
門脇から西の方を見る。お寺の横の道を右に登って行けば、日和山公園だ。
こどもの頃だったら、クローバーの中に寝そべって、花の冠でもつくったかも。
そんなことを思ったのは、こどぱにーのフェイスブックで、ちびひろのクローバーの記事を読んだから。(こどぱにー=こども∞感ぱにー ちびひろ=ちびっこひろば)
いま、こどもたちが夢中になっているのが、シロツメクサの花飾りづくり。可愛い花の冠の写真が掲載されていたかと思ったら、編んだクローバーがどんどん長くなって、ロープみたいになって、「へび!」なんて言って遊んでいる様子まで。そんな楽しい記事だった。
自分の目で見てあらためて思った。石巻はいま、白いクローバーの花盛り。
クローバーの向こうに、被害を受けた建物が残されていて、そしてその向こうに初夏の空が広がっている。
門脇2丁目の交差点から街なかの方に入ったところに残された、このお宅の前にもクローバーの緑と白い花。
寄り添ってる?
こちらのお宅は、1階が完全に水没した様子。
窓は失われ、外壁は波打っている。
窓の庇の金具を見ると、津波とともに流れてきて、金具に引っ掛かり、そのまま2年以上の時間を経過してきた、ゴザの一部や植物のかけら、
それから綿のような繊維のようなものが残されていた。
あの日、ここは海だった。
2年後のいま、同じ場所にクローバーが白い花を咲かせている。
やっぱり、寄り添っているのかな。
もちろん、旧北上川の中州、中瀬にある石ノ森萬画館の近くも、シロツメクサの白い花でいっぱいだった。
ここも、あの日、海になった場所。
こちらは、大川小学校のすぐ近く、針岡から釜谷にかけての田んぼの景色に、シロツメクサが馴染んでいた。
半年前には田んぼの土がピラミッドみたいに積み上げられていて、県の担当者いわく、「除塩が大変な上に、用水の池にまで海水が入ってしまったから今年の田植えは難しい」とされていた場所。
地元の人たちの念願叶って、田植えすることができた田んぼを見守るように、シロツメクサの白い花が揺れていた。
シロツメクサは陸前高田でも大船渡でも、たくさん咲いていた。
陸前高田では、被災地には四葉のクローバーが多いっていう話を聞いた。
大船渡では、ダメージを受けたクローバーが四葉になりやすいという話も聞いた。
一度、海になった場所に咲くクローバー。きれいなだけではないんだぞ、と小さな白い花からメッセージをもらった。
ぽたるによる東北応援のトップページです。