伊達の屋台の心意気! うまいぞ、石巻焼きそば!

石巻駅のほど近く。かつての中心商店街、立町通りにキッチンカーが登場!
クルマのボディには「伊達の屋台」とのお洒落なロゴマーク。何が食べられるのかなと覗いてみると、メニューは石巻焼きそば、焼うどん、ホルモン、かき氷…。
石巻周辺をぐるぐる回って、お腹ペコペコの昼下がり。ここは地元を代表するB級グルメ、石巻焼きそばを食すよりほかない!

「ネットに載せたいから写真を撮ってもいいですか?」
とお願いしたところ、
店長の藤原朋さん、「もちろん!」と快諾してくれた。

石巻焼きそばというのは、二度蒸しした茶色い麺を使うご当地料理。ただ炒めるのではなく、出汁を掛けながら蒸し焼きにするのが特徴だ。

注文と同時に、キッチンカーの中でフライパンが2つ火にかけられた。

でも、どうして2つ?

理由は調理しながら教えてくれました。

こちらは麺を蒸し焼きにするフライパン。
色が赤いのは、キッチンカーの日よけの色が写り込んだだけです。けっしてナポリタンではありません。

そしてこちらが、具を炒めるフライパン。

フライパンを振るうのは店長の藤原さん。仕事っぷりもカッコいい。

「野菜を麺といっしょに蒸し焼きにすると、野菜本来のおいしさが損なわれてしまうんです。味とか、歯ごたえとか。麺と具の両方をおいしい状態で食べていただくために、うちでは別々に調理しているんです。」

はっきり言って手間だろう。野菜を細かく切りさえすれば、麺といっしょに調理することもできるはず。でも、それではおいしくない。おいしくないものは作らない。

キッチンカーの限られた調理スペースで、こだわりの仕事がきっちり行われているのでした。

できあがりはこちら!
ファーストビューで圧倒されたのは、ごろごろと入った野菜。麺がほとんど見えないほど。でも、パックを開くのと同時に、ほのかに海の香りがした。麺を蒸し焼きにするのに使われたカツオ出汁の香りだ。

写真撮影もほどほどに、実食。
野菜が甘い。大き目にカットされた野菜に、ちょうどいい具合に火が通っている。素材そのものの味わいが口の中に広がる。
ややコシがあるのに、ふんわり仕上げられた麺との相性もいい。

これ、マジでうまいよ。

焼きそばというと、ソース味にしろ塩焼きそばにしろ、濃いめの味付けで食材をねじ伏せて、ソースや塩の味だけで食べるイメージがあるが、伊達の屋台の石巻焼きそばはまったくの別物だ。

石巻に行ったらぜひとも伊達の屋台で石巻焼きそばを食べよう!
いやいや、伊達の屋台の石巻焼きそばを食べる目的で、石巻に行こう!

伊達の屋台はおいしいだけじゃない。
いろいろな話題や思いを乗せて、東北を、そして全国を走りまわろうとしている。

代表の藤原さんは仙台市の出身。NPO法人グラウンドワーク三島によるインキュベーション事業(内閣府「復興支援型地域社会雇用創造事業」)の支援を受けて、今年2月に伊達の屋台を創業した。

どうしてキッチンカーなのかと尋ねたら、
「キッチンカーなら、全国どこへでもこちらから出向いて行ける。石巻エリアのおいしい料理を全国の人たちに食べてもらって、石巻に興味を持ってもらいたい。そして石巻に来てほしい。全国47都道府県を回るつもりなんですよ。」

キッチンカーの車検を通した時、藤原さんはびっくりしたという。
「ナンバーがね、4701だったんです。47都道府県で1番ノリ!ていうようにも読めるでしょ。全国でB級グルメナンバーワンを目指してしっかりやれ、って言われているように感じましたね。」

被災地と全国を、おいしいこだわりB級グルメで結ぶ伊達の屋台。
食べる口としゃべる口の両方を満足させてくれる旅は、いまスタートしたばかり。これからが本番だ。

伊達の屋台

おもにこちらの空き地で営業中

●TEXT+PHOTO:井上良太(株式会社ジェーピーツーワン)