地震や津波などの自然災害は人間の力で防ぐことはできません。また地震を予知することもできません。しかし、自然災害が発生した時に、どうやって身を守るのかを、事前に考え準備しておくことで、被害を食い止めることは不可能ではないはずです。
考えられる危険
・堤防などの巨大構造物が液状化によって倒壊する
・津波に呑み込まれる
・自動車で避難する途中、渋滞で動けなくなり津波に呑まれる
・川を遡って溢れた津波と海からの津波に囲まれてしまう
東日本大震災で、私たちは津波被害の恐ろしさを身に染みて実感しました。海岸や大きな川の近くで大きな揺れに見舞われたら、津波情報が発令されるのを待つまでもなく、いち早く避難しましょう。津波の様子を見に行くなどは言語道断です。
津波避難の鉄則は、できるだけ高く、できるだけ遠くにです。しかし、地形によって津波は海から襲いかかるばかりではありません。川を遡った津波が川の堤防を越えて町にあふれたり、海から遠くへ逃げようとした人が川からの津波と海からの津波に挟まれたり、防潮堤の低い場所から侵入した津波の流れに、高い防潮堤を越えた津波の流れが合流し、渦を巻きながら町を破壊したり。東日本大震災では、地形や津波の高さなどにより、さまざまな被害の状況がありました。
水は低いところへ流れていくものですから、行政が公表している津波想定やシミュレーションから、その土地ごとの津波被害をある程度想像することができます。どんな被害が起こりうるか、あらかじめ考えて避難経路を想定しておくことが大切です。ただし、津波の高さや津波の継続時間は、地震によってさまざまですから、「ここまで逃げれば大丈夫」という考えは持たないほうが賢明です。
津波からの避難で問題になるのが自動車の使用です。東日本大震災では、避難途中に車が渋滞しているところを津波に襲われて、多くの人命が失われました。しかし、自動車で逃げたからこそ助かったという多くの証言もあります。避難に自動車を利用することの可否は、交通量や道路事情によって非常に判断が難しい問題です。車でなければ逃げられない地形であれば、自動車の使用は不可欠でしょう。でも避難途中に渋滞した時には、脇道に回るとか、それが困難なら車を乗り捨てて徒歩で逃げるなど、さまざまなケースを自分なりに想定しておくことが大切です。
また、大きな地震では防波堤や防潮堤、港の岸壁や埠頭など、崩れるはずがないと思えるような巨大なコンクリート建造物でも、傾いたり倒壊したりすることがあります。東日本大震災でも、各地の漁港などで地震そのものの揺れで建造物が壊されました。このような場所の危険を認識し、いざという時どう逃げるかを考えておくことも大切です。
地震の揺れから生き延びるポイント(海岸の場合)
・海辺近くの危険を認識して、ふだんから避難方法を考えておく
・津波が心配されるような地震の際は、できるだけ遠くへ、できるだけ高いところへ逃げる
・津波で浸水するパターンを考えて、避難経路をシミュレーションしておく
・避難時の自動車の利用はケースバイケースで考える。いざという時には車を乗り捨てる覚悟もしておく
「揺れた時には、まず自分の身を安全に守りましょう」と言われます。具体的には丈夫なテーブルなどの下にもぐりこみ、頭部を座布団などでガードすることが勧められています。