西川明花・・・マルチプレーで翻弄するオフェンスの『かいぶつ』 【ヤングなでしこ・選手名鑑】

『なでしこジャパン』の下の世代、『ヤングなでしこ』の存在を知っていますか?U-20代表と呼ばれている20歳以下の若い選手達です。2012年8月19日より、FIFA U-20ワールドカップが日本で開催されました。各選手はこの大会で自分の力をアピールし、ビッグクラブへの移籍やA代表への選出を目標にしています。今回はヤングなでしこのフォワードとして活躍する西川明花選手のプレースタイルに迫ります!

【西川明花】にしかわ・あすか

国籍:日本
生年月日:1992年4月22日(20歳)
出身地:北海道
身長:166cm
体重:58kg
在籍チーム:FC高梁吉備国際大学Charme
ポジション:FW
背番号:8

元来はムービングフォワード、サイドアタックが武器

ヤングなでしこの基本フォーメーションは4-2-3-1。フォワードを1人にして中盤の人数を増やし、最前線の1トップにはターゲットマンとしてポストプレーを要求されます。中盤に豊富なタレントが揃うチームのストロングポイントを最大限に生かそうとするシステムです。今回のU-20ワールドカップでレギュラーフォワードに指名されたのはポストプレーを得意とする道上彩花。1トップで中央に張るフォワードに一旦ボールを預けてタメを作り、バイタルエリアに落とされたボールを2列目の選手が拾って前線に飛び出します。 1トップの道上にかかる負担は想像以上に大きく、ボールをキープする前にディフェンスに狙われて潰されるケースが目立ちました。

一度ハマれば絶大な威力を発揮する1トップですが、90分を通してフォワードに高いパフォーマンスが要求されるだけに選手のコンディションに左右される部分があります。停滞した攻撃の流れを変えるにはタイプの異なるフォワードの投入が必須でした。そこで鍵となる選手が西川明花です。彼女は純粋なセンターフォワードというタイプではなく、元来はサイドアタックを得意とするムービングフォワードです。トップに張り付く道上とは違い、流れの中で中央からサイドにポジションを変えるので、ディフェンスは西川のマークに戸惑うことになります。

『かいぶつ』と呼ばれるオフェンスのマルチプレーヤー

西川明花を一言で表現するならば『オフェンスのマルチプレーヤー』ということになります。166cmと上背もあり、フィジカルコンタクトに優れた屈強な体格の持ち主です。足元の技術も優れており、前線でポストプレーを堅実にこなす器用さを持ちます。ターゲットマンとして中央でパスを受ける動き、ディフェンスの裏に抜け出してスルーパスを引き出す動きなど、ボールを保持していないオフザボールに質の高さを見せます。プレーエリアが広いのも特徴で、バイタルエリアから中盤の深い位置に下がってゲームメークまでこなします。ダイナミックなプレースタイルから『かいぶつ』という異名を持ちます。

準々決勝の韓国戦ではセンターサークル付近からゴール前の柴田華絵に鮮やかなスルーパスを通してアシストを決めるなど、パスセンスにも非凡な能力を持ちます。サイドからのドリブル突破も破壊力があり、独特の間合いからDFを引き付けると鋭いターンで体重移動の逆を突き、華麗なステップと瞬間的なスピードでDFを振り切ります。中央からサイドに流れてドリブルで崩すウイングプレー、逆にサイドから中央にカットインしてミドルシュートなど、多彩な攻撃の引き出しを持ちます。

正確なミドルシュートとGKの1対1に決定力を発揮する

フォワードである以上、得点を奪うことが最も重要なタスクになります。西川の場合、ミドルシュートの決定率が高いことが一つの強みになっています。田中陽子や猶本光ように強くて速いシュートを打つタイプではなく、DFとDFの間をすり抜けるようなグラウンダーシュートでスナイパーのように正確にゴールを射抜きます。このような冷静さはペナルティエリア内のプレーにも表れており、3位決定戦のナイジェリア戦では柴田華絵のスルーパスを絶妙のトラップで受け、ゴールキーパーの脇を抜く巧みなシュートをゴールに流し込んでいます。

総括

スーパーサブとして道上彩花の控えに回ることが多かった西川明花ですが、本来はシャドーストライカーとして2トップの一角を担う選手です。それだけに実力を十分に発揮できなかった部分もありますが、マルチな能力を秘めた万能ストライカーとして今後の活躍に期待します! 

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