母島 - ははじま丸で東京南端へ!ハハジマメグロに会いに行こう(東京・小笠原諸島)

まるで「父島の昔の姿」、小笠原の原風景がここに。

 東京・竹芝桟橋から25時間30分の父島から、さらに南へ50km。実に27時間40分の航海の果てにたどり着くのが母島です。平均気温も父島より2度ほど高いと言われます。母島で生まれない限り、例外なく最初に訪れるのは父島、次に母島となりますが、よく言われるのは「母島は父島の昔の姿に似ている」とのこと。確かに父島にはある都会的な要素はありません。父島の後に母島を訪れると最初は戸惑うかも知れませんが、そこが味なのです!  そんな母島への唯一の航路がははじま丸。父島から片道およそ50kmで料金は4600~4700円程度(調整金による変動あり。)で、一般的なフェリーと比較するとかなりの高め設定です。そんな場所ですから、どうせ泊まるなら何泊か連泊することをお勧めします。 父島に比べるとひと気もなく、ツアー業者も少なめ。どこの場所へ行ってもプライベートスポットに早変わり!静かに過ごしたい人にはうってつけの島とも言えます。

 自分で何をするかを考え、テキトーに散策するのも母島流の過ごし方。よく見ると、そこらじゅうに島の野菜や果物が成っていたり、ハハジマメグロをはじめとした小笠原ならではの動物たちを見かけたり。なぜか父島よりも母島の方が距離が近くに感じます。不思議。 小笠原観光をしゃぶりつくしたい人!母島は外せませんよッ! 

母島の見どころ

景色を楽しむ 

ハハジマメグロ

母島の固有種で、50km離れたお隣、父島でも見ることが出来ません。それだけに希少価値も高い鳥ではありますが、島民曰く「スズメの感覚で見ることができるよ」とのこと。実際森林の中で見かけることも多いです。島内の遊歩道には「小鳥の水場」と呼ばれるスポットがいくつかあり、道中置いてあるペットボトルに貯められた水を、木々の間に設置された器へ注ぎ入れてあげることが出来ます。しばらく観察していると、メグロの水浴びが見れるかも?

ガジュマル (場所)

島の中心部で島民の生活を見守ってきた大きなガジュマルです。島の中心と言っても、そこには穏やかな島時間が流れています。桟橋で釣りを楽しむオジサマたち、集落を駆け回る小学生、島のスーパーで買い物を済ませた奥さん、歩き疲れて腰掛ける島のご年配と旅人、そんな島の風景のシンボル的存在。いかがでしょうか。筆者の知人は島のおばあさんに縁談を持ちかけられたこともあったとか・・・。

北港、北村 (場所)

今や特に用事もない人が時折訪れるだけの場所。サンゴ礁が広がり、ウミガメも見られます。釣り場としても絶好のポイントとして知られています。かつては北港を含む一帯に北村という集落があり、戦前は600人近い人々が生活を営むほどの集落で、郵便局や小学校、クサヤ工場もありました。のちに太平洋戦争による集団疎開があり、戦後は島に島民こそ帰ったものの、北村はそのまま廃村状態になりました。今では、小学校跡に残った石垣や骨組みなどが草木に絡まり、当時からの時間の経過を感じさせます。 

静沢遊歩道、サンセットシアタ- (場所)

メイン集落でもある静沢より、北側へ続く上り坂を上ると遊歩道への分岐点が見られます。ゆっくり歩いても20分程度の短い遊歩道は散歩に最適。近くには戦跡が数多く残っています。また、遊歩道の終端はサンセットシアターという、3~4人がけのベンチがひとつぽつん。上映時間は夕陽が沈むころ。大入り満員になることはまずないですが、何日か通うと不思議と顔見知りが増えてくる、母島の小さな小さな名所です。

御幸之浜 (場所)

かつて昭和天皇が訪れ、生物採取をされたことからこの名が付きました。5000万年以上前に栄えた、大型有孔虫の化石が見られます。貨幣のような大きさから貨幣石とも呼ばれますが、世界でも稀に見る大きさでもあるため、御幸之浜も大変重要な場所とされています。

旧ヘリポート (場所)

2003年まで使用されていた、急患対策用のヘリポートです。かつて、緊急時はここから硫黄島へヘリを飛ばし、飛行機で内地へ急ぐこともありました。新ヘリポートが完成し、慌ただしい役割からお役御免となったワケですが、今度は星空の名所として島民や観光客に親しまれています。夏場は大の字になってて転がってみてはいかがでしょうか。無数の流れ星はもちろん、季節の星座や南十字星なども見ることが出来ます。それはもう、他の無数の星まで見えすぎて、逆にどれがどの星か分からなくなってしまうかも(?)

島と遊ぶ

脇浜なぎさ公園 (場所)

トイレとシャワーが完備され、観光客用に整備された人口の海水浴場が脇浜なぎさ公園です。母島には遊泳可能な浜がいくつかありますが、どれもゴツゴツした岩場のような浜。その点こちらは白い砂浜のため、老若男女 安 心 し て 遊泳可能です。たとえ、その浜に群れを成したサメがいようとも。※ 脇浜なぎさ公園は人を襲うことがないサメ・ネムリブカが多く集まります(特に5~6月は繁殖の時期)。「怖がらなくても大丈夫だよ」とよく言われるのですが、やはり顔を見てしまうと・・・。ひゃあ~~~。

石門 (場所)

中~上級者向きで母島の秘境、母島の固有種が多く集う原生性の高い重要な地域です。それゆえに細かな規制が敷かれていて、大人数で利用することも出来ません。島の中でもより鬱蒼としたエリアであり、恐らく、素人がうかつに入ると迷うでしょう(ありえませんが)。シダ植物の数々に野ヤシやマルハチ、さながらジュラシックパークのようなジャングルでしょうか。歩行時間は7時間と他のコースと比べてもかかるうえ、料金設定も高い。まさに中級者向け。母島に「また来たなぁ」と思ったら、石門ツアーに出かけてみては。※ 母島自主ルールにより、3月(一部ルートのみ利用可)~9月中のみ利用可。

※ ガイド1名が案内できる人数は5名まで。

乳房山 (場所)

母なる島にそびえる山ゆえ乳房山です。島の常連ともなると、「ちょっと乳房に登ってきます」なんて言いながら宿を出ていきます。小笠原諸島最高峰の乳房山。ですが、山自体は特に険しくも無く、4~5時間程度で往復出来てしまうほど。ツワモノになれば往復のその速さを競い始めます。もちろんゆっくり歩くことをオススメします(笑)。道中はハハジマノボタンやムニンヒメツバキなどの固有種も見ることができ、彩りのある景色が楽しめます。晴れた日は山頂から父島も見わたせるでしょう。※ 観光協会に事前に申請すれば登頂記念証を発行してくれます。(300円) 

南崎、小富士 (場所)

沖港より南へ延びる南進線を進むと、一見行き止まりとなり、都道最南端を示す看板にぶちあたります。そこからさらに伸びる遊歩道を進んでいくこと1時間。登山と比較しても割とラクに南崎へたどり着きます。シュノーケリングに最適と言われていますが、やはりあまり泳ぐ人は見かけません。また、小富士は母島の稜線を見渡すことが出来ます。日本一早い初日の出スポットとしても有名。   

母島の情報あれこれ

名 称母島(ははじま)

所在地

(地図)

面 積20.21㎢

周 囲

58.0km