【島トリビア】県境に位置し・・・

県境に位置し・・・

     2つの表記をもつ島がある。 

 瀬戸内海には「いしま」と呼ばれる島があります。県境に位置する・・・つまり、島の上に県境が存在している島なのです。それも珍しいのですが、県境で分けた北側、南側で島の名前が若干変わってしまうのです。島の東部には戸尻鼻、西部にはヘラガ崎という2つの岬があり、の2つを山の稜線で結んだ県境が出来ており、県境より北側は岡山県、南側は香川県に属すのです!

 岡山県側は「いしま」のことを「石島」と表記し、香川県側では「井島」と表記する、なんとも変わった島と言えるでしょう。発端は1690年にさかのぼります。当時は御料地(天領・・・いわゆる幕府の直轄領)の直島(現・香川県)と、岡山藩胸上村の間で領有権と漁業権を巡った紛争がたびたび起こっていました。10年近く続いた長い論争でしたが、最後は幕府評定所の裁定により、北側を岡山藩胸上村領、南側を御料地と分けることで落ち着きました。いわゆる国境が敷かれたことになります。その名残が現在まで続いているのです。 現在は南側、香川県に属する井島側が無人となっており、100人ほどの人口が北側、岡山県の石島側で暮らしています。幕府が終わり、廃藩置県を経て、排他的経済水域が敷かれた今となっては、かつての争いもどこ吹く風といったところでしょうか。

◇参考資料◇ 「岡山県の離島 石島」 (岡山県県民生活部中山間・地域振興課)

『SHIMADAS』 (日本離島センター)