コンビニ大手のローソンが、CD・DVD販売を手がけるHMVジャパンを吸収合併したことは記憶に新しい。2012年5月15日、HMVを併設したコンビニエンスストア、「ローソンHMV」が表参道にオープンした。
コンビニとしての機能はもちろん、HMVコーナーにCD/DVDなど約300アイテムを揃える。通常のHMV店舗と同様、試聴機を設置したり、店頭予約などのサービスも行う。時間がとれずショップに足を運べなかったユーザーにも気軽に利用して貰おうというもの。
関係者の調査によると、お客のコンビニでの平均滞在時間は2分半。多くの人は買う物が決まっており、買ってすぐに帰ってしまうため、1人当たり300円~400円しか消費しないという。それに比べ、HMVのお客1人当たりの購入額は3,000円~4,000円であるため、ローソンでの購入意欲を促進する効果を狙っている。
以下は関係者のコメント。「近年CDショップが減り、CDを買いそびれてしまう人が増えている。欲しい時にパっと買えると買うが、熱が冷めると『買わなくていいや』と考えが変わってしまう。利用者の皆さんの生活のそばに寄り添っていくことが重要だと感じ、ローソンHMV出店に至った」
ローソンのこの奇策に対して、疑問を呈する人もいる。ローソンHMVの店舗にはランキング上位の作品を並べる可能性が高い。しかし、ランキングは個人に最適化されるべきであって、全国基準や地域基準で商品を選ぶことは旧時代的になっていくという。みんなが買うからチェックするという時代は終わり、自分にあってるとか、周りの人に受けているからチェックするという形にシフトしていくという。
昨今、CDを店頭で買う人は激減している。これは2つの理由があり、1つ目は消費者がCDを買わなくなったこと。CDをプレイヤーに入れて音楽を聞く人は減り、iTunesなどのデジタル版で購入し、iPodなどの携帯型デジタルプレイヤーに入れる人が増えている。もう1つは、視聴はiTunesやYouTubeなどで済むようになったこと。わざわざ店頭に出向いて、視聴めぐりをする必要がなくなっている。
時代の逆境を受けて、ローソンHMVがどのような巻き返しをはかるのか興味深いところである。
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