静岡県では、12月の第1日曜日を「地域防災の日」と定め、各地で防災訓練が行われています。平日の災害発生を想定した9月1日の総合防災訓練とは異なり、こちらは自主防災会の各班の活動の流れを確認し、共助意識の向上を目的としています。
昭和19年12月7日に発生した「東南海地震」を教訓とすることから、この時期になったのだそうです。12月6日に防災訓練が行われる予定ですが、今年はコロナの影響がありそうです。例年であれば地域の子どもたちを中心に一般の人も参加可能ですが、住んでいる地域の情報によれば今年は各班の代表者、自治会の役員のみの参加になり、それ以外の人たちは、家庭内で防災訓練を行うよう推奨されています。
地震・津波の被害が想定されている静岡県ですが、他にはどんな準備の取り組みがされているのでしょうか?
事前復興とは?
身の回りで行われている取り組みをいくつか見てきた中で、最も気になったのが富士市の事前復興計画というもの。復旧ではなく「復興」と聞くと、災害が発生し被害の全容が把握できた後に計画が進められるものというイメージがこれまでありましたが、あくまでもこの計画を災害が起きる前に始めようということなのです。
東日本大震災におけるいくつかの被災地を見て回ったことがあるのですが、新たなまちづくりに必要な設備面において、復興のスピードは各地で大きな差がありました。一概には言えないものの、その差が生まれる背景には、発災の後では冷静な状態で議論することが難しく、なかなか合意形成まで至らないという理由があると考えられます。
実際に、地震や津波が起きてまちに訪れる危機を正確には予想できませんし、起きてない状態で被害を受けた時を想像する事自体に難しさもあると思います。ただ被害を受けたのならば、復興の計画は時期に限らず必要。落ち着いた状態で計画・議論を進めるというのは復興過程においてプラスに働くことが多いのではないでしょうか。
具体的には・・・
こうした利点から事前復興という考えが広まりつつありますが、実際どのようなことが協議されているのかというと、
過去に発生した震災を教訓とし、まちづくりの観点で復興の方向性決めをしており、大きく分けて「市街地の復興」、「住環境の復興」、「産業の復興」、「復興の体制等」としています。これらが復興計画の骨格になるとされています。
こうしたビジョンのもと、どのように復興を進めていくのか。
復旧期、復興始動期と発災からどの程度期間を要するかなど大枠の流れをつかめる「復興まちづくりのステップ」を起点として、市街地、住宅、医療、商業・工業、農林漁業といった分野別の視点。また、行政、地域、個人(市民)、事業者とそれぞれの立場で異なる復興プロセスが計画されています。
分野別、主体別と細かく分けられており、これだけ整理されているのは他の地域ではないことだと思いますが、欲を言えば一般市民向けとしてもう少しわかりやすく計画を提示できると良いかなとも思いました。まずは、復興まちづくりの過程を知ることが重要ですね。
冒頭でも触れたとおり、今週末は「地域防災の日」。行動に制限がかけられる中での実施ですが、自分の住む地域では災害に備えてどのような取り組みがされているのか知る機会にしても良いかもしれないですね。