地域の歴史を知る休日(秩父宮記念公園)

前回から沼津の近隣市町を巡り始め、まずは富士市の歴史を学びに行きました。今回はそのまま西方面に向かうと思いきや、沼津から北東方面にいくつか市町を挟んだ位置にある御殿場市です。

御殿場は富士山のふもとにあり、標高が高い地域。中心部でも下界(の市町)と比べてマイナス5度ぐらいの気温差を感じ(個人的な感覚です)、夏は過ごしやすいです。特に夜になると一気に気温が下がるので、たとえ真夏と言われる時期でも寝苦しいと感じることはほとんどなく快適なんですよね。(ただ、霧が多い)

そんな御殿場に涼を求め今年も何度か足を運ぶ中、訪問したのがこちらの秩父宮記念公園です。

故秩父宮雍仁親王妃勢津子殿下のご遺言によりかつて秩父宮同妃両殿下が戦中戦後の時期を過ごされた御殿場御別邸が妃殿下のご遺志に沿った形で整備し、記念公園として開園することにしました。園内は四季折々の草花と自然とのふれあいが楽しめる空間になっています。また、公園周辺は桜の名所として知られています。

引用元:秩父宮記念公園/ハローナビしずおか 静岡県観光情報

この公園も前回と同じく東名高速道路の御殿場インターチェンジから車で数分。
園内に入るには有料(大人300円/小中学生150円)ではありますが、見応えがあります。東京ドームの1.5倍という敷地内には、季節ごとに異なる花が咲く庭園や秩父宮両殿下が住まれていた母屋などが保存されています。

整備された防空壕

正門から入り、奥に進んでいきます。途中通る庭園は手入れが行き届いており、ベンチも点在しているので、のんびり座って鑑賞できます。また、道中はほとんどの場所でヒノキが植えられていて、森林浴にも適しています。

しばらく歩き続けて発見したのが「防空壕」の看板です。
園内には両殿下専用、将校用、民間用(こちらは未公開)が保存されており、整備されたのち、一般公開となりました。

御殿場市も空襲(昭和20年7月30日)の被害を受けた地域。戦時中、この公園から3kmほど離れた御殿場駅付近に50キロ爆弾が8個も投下されたと言われています。

まず、見学したのが、将校用の防空壕。中まで入ることはできないのですが、入口の手前まで行き、部屋の中を見ることができます。正直なところ、これほどきれいに整備されているとは思いませんでした。(整備前はワイン瓶やマグカップなどが散乱していたのだそうです)

さらに進んでいくと、先ほどよりも造りが明らかにしっかりしている防空壕が見えてきました。屋根部分には石が積まれていたり、入口までの通路が長いところが特徴です。

そして、見取り図からもわかるとおり、クネクネした順路を採用した内部の変わった構造も印象的です。

これは、もし入口付近に爆弾が落ちても内部まで爆風や飛散物が届かないように、あえて折れ曲がっているような設計にしています。また、療養中だった殿下を担架に乗せたまま防空壕の奥まで移動できるように通路の広さを一定に保つという工夫も施されていました。

こちらは内部にも入ることができます。(訪問したのは真夏日。しかも日中だったのですが、部屋は少しひんやりしていました)広さは将校用の2、いや3倍ほどあると感じました。

こうした使用する方の心配事に配慮した構造や入る人それぞれの専用防空壕があったことは、今回新たな発見でした。

年間通じて様々なイベントが行われており、にぎやかな雰囲気も感じられるこちらの公園ですが、園内の奥の方へ進んでいくとこのように秩父宮両殿下が住まれていた当時の生活や戦時中の様子を知ることできたのは意外でした。

御殿場まで足を運ぶことができたので、この訪問シリーズを始めた当初の沼津市内から比べるとかなり範囲が広がってきました。これを機にもっと範囲を広げてみようかと考え中です・・・。