――発想。アイデア。着眼点。人と同じではないからこそ今があるのだと思います。福井さんと同世代の方へ「子育て」には何が大切かをお伝えいただけますか?
子どもは子どもで、今も昔も変わらないと思います。私の母も、祖母も、子育てしながら働いてきました。近所に学校の先生をしている母の年子の姉、私にとっては叔母も住んでいて、仕事帰りにうちに寄って、その日あった出来事など女だけで話して解消していたのでしょう。それがまた楽しそうでした。これがダメというのがなく皆で助け合いながら育てていたので、それが連鎖して、今私も母に助けてもらっています。助かるし、ありがたいことです。美容室では冠婚葬祭用の着付けもしていたので、着物と髪型について母と祖母が話し合っていることや、着付けを終えて身支度されたお客様の姿を見るのがとっても好きでした。
――好きな時間、好きなことを、いつもちゃんと直感で見つけていた感受性が福井さんの原動力かもしれませんね。これからの活動は何か計画がありますか?
「お能」に携わって10年一区切りで2018年に作品集を出しました。2019年は、これまでやってきたことのアウトプットの年です。3年間日本中を巡回していた切り絵作家の11人展が大分を最後に終了し、出身地である静岡でお能作品10年間10点の作品と静岡仕事の個展を開催しました。そして、2年間制作してきた絵本が発売され、原画展が開催されています。来年の展示も決まったものがありますが、そこではまた違った面をお見せできればと思います。「切り絵」というキーワードを用いて型にはまらない様々な表現にチャレンジしていきたいと思っています。
編集後記
――ありがとうございました! 福井さんの展示会はまるで小さな森。ため息が出るほど美しい作品の数々に、切り絵の概念をガラリと変えられることでしょう。ものすごい観察力と集中力、そして継続できる体力はひょっとしたらミニバスで鍛えてきたおかげかもしれませんね。女優さんのような美しい佇まいで、切り絵界をけん引する福井さん。海外でも驚愕される日本ならではの精巧なアートとして、これからも注目されるはずです。応援しています!
2019年7月取材・文/マザール あべみちこ
活動インフォメーション
このページについて
このページは株式会社ジェーピーツーワンが運営する「子供の習い事.net 『シリーズこの人に聞く!第163回』」から転載しています。
高梨 琢磨 文 / 土原 和子 文 / 福井 利佐 絵
福音館書店
定価 440円(税込)
発売日 2019/7/1
人に聞こえる音を出す虫は、音を使う虫の一部。実は人に聞こえない音を使う虫もたくさんいます。この作品には、セミやスズムシだけでなく、人に聞こえない高い音(超音波)や、草や土などを伝わる音(振動)を使う虫も登場。音を使う理由も、交尾のため、闘うため、敵から逃れるためなど虫によって様々です。虫たちの音の世界を生命力あふれる文章と切り絵で紹介。