2019年1月13日(日)、三島商工会議所TMOホールで開催されたセミナー「自閉症の方のパニックをゼロにする12の方法」を受講してきました。
講師は「特定営利活動法人サポートひろがり」代表の山田由美子先生。知的障害・自閉症の人たちの支援に関するスペシャリスト中のスペシャリストで、この日開催されたセミナーは全国で大人気。地元三島で聴けるチャンスなんか滅多にないので、情報を知ってすぐに申し込みました。
自閉症を持つ人たちのパニックとは、自分を傷つける、他人に害を及ぼす、物を投げる・壊す、急に走り出す、大声で叫ぶ、泣く、などなどいろんなパターンがあります。うちの娘も今あげた中で「急に走り出す」以外はすべてやります。
こうなってしまうとわたしたち家族はもちろん、先生、施設の支援者のみなさんなども、痛いし、怖いし、つらいです。子供たちの身体が大きくなるにつれてはっきりと「恐怖」を感じることもあります。そしていちばんつらいのは本人ですね。
有料のセミナーですので内容については触れませんが、今回学んだのは「パニックになった時の対処法」ではなく「パニックの原因を作らないこと」です。
原因は伝わらないことも多い
パニックには必ず原因があります。これまでに見聞きした知識や経験からその原因がわかることもあります。しかし「何もしてないのに急にこうなった」と思うこともしょっちゅうあります。
うちの娘のように言葉が話せないならなおさらですが、言葉を持っている子でも、そこにある不安や不快のせいで普段ならできるコミュニケーションが一瞬にして不可能になってしまい、原因を訴えることや、原因から逃がれる方法がわからなくなります(例えば「苦手な声の人から離れればいいだけ」なのに、それがわかりません)。
つまりひとたびパニックになってしまうと(残念ながら)原因がわからないまま「落ち着くのを待つしかない」時もあります。
安全のため「パニックになったらこうしよう」も大事ですが「パニックの原因を作らない」ことがより重要なんですね。
ゴールはない
12の方法を学んだ感想としては
「今までやってきたこと目指していたことは間違いではなかった」
というのが正直なところでした。ただしわが家では「ずっとこうやってきたのに結果が出ていない」ことだってありますし、「頭ではわかっているけどつい目先の感情が勝って本来やるべきことができていない」こともたくさんあります。毎日が失敗の連続です。
それだけでもOKです
さっそくというかなんというか、この日、夕食に招かれた友人宅で娘はひどいパニック状態になってしまいました。原因はわかりません。セミナー受講後にパニックをぶつけてくるとはさすがウチの娘ですが、娘のパニックを見慣れている友人家族(小学生もいる)は落ち着いていてくれました。
パニックになると自分の頭をガンガン叩いたり、壁に頭を打ち付けたり、親の髪の毛を引っ張ったり。手の差しのべようもないケースが多いです。
当事者の立場からしても、声をかけてくれた方がありがたいケースもあれば声をかけないでいてくれる方がありがたいケースもあります。難しいです。
ただ、あの行動について「珍しいことではない」「彼ら彼女らのSOSであること」を知っていてくれているだけでとても救われるのです。わざわざ披露するようなシーンではありませんが、世間一般の方に見慣れていただくことも大事だなと個人的には思っています。
想像力を持って
障害のある子を持った縁でいろんな子供たち、いろんな親御さんとお話ししたり、今回のようなセミナーを受講したりするたびに実感するのは、彼ら・彼女らがうれしくなったり不安や不快な気持ちになったりする原因は「ひとそれぞれ」であり、「その日その時でもいろいろ」ということ。そして天の声か何かに「そこだよそこ、勉強するのは」と言われているような気がするのです。
「自閉症の子ってこうだよね」「障害のある子ってこうだよね」と括れる部分も確かにありますが、毎日の暮らしはあくまでも「この子というひとり」と「この時」を生きていくことの積み重ねなんですよね。しんどいなあ…
じゃなくて(笑)、障害のあるなしに関係なく「誰しも」の「その時」のうれしいこと・つらいことについて想像力を持てる人間でありたいと思った次第です。目指せ仏です。
この日、セミナー会場の向かいでは成人式が行われていました。ひとりひとりがキラキラしていてとてもまぶしかったです。