【シリーズ・この人に聞く!第149回】足うら研究家 鈴木きよみさん

東京・自由が丘で91年から30万を超える人の足を診てきた臨床経験豊富なセラピスト。これまで多数の著書がある中、子どもの足うらにフォーカスした実践本を初刊行。ご自身も二人の子を育て上げた母。実践したくなる体験事例をたくさんお話し頂きました。

鈴木 きよみ(すずき きよみ)

足うら研究家/有限会社オフィスキヨミ代表取締役「癒しと温かな手の学校」校長/「鈴木きよみクリニカルサロン」メインセラピスト/「サロンアンピール」監修

東京・自由が丘の地で27年にわたり、延べ30万人以上の足を診てきた臨床経験豊富なセラピスト。臨床のなかで培ってきた経験をベースに「クリニカルゾーンセラピー」として、ほかにはない独自の理論と技術を確立。現場でのセラピーを中心に活動を行いながら、各企業でのセミナーやカルチャースクールでの講師、TVや雑誌など幅広い分野で活躍中。『下半身がミルミルやせるゾーンセラピー』(PHP研究所)、『「めん棒ゾーンセラピー」ですぐやせっ!』(学習研究社)、『足裏押すだけ!指圧棒セラピー』(学研パブリッシング)、『3分で愛情たっぷりベビーマッサージ』(学研プラス)ほか著書多数。

母を早くに亡くした病弱な子ども時代。

――足裏にたくさんツボがあるのは知っていたつもりでしたが、子どもの足裏に着目したご著書拝読してますます刺激を受けました。きよみ先生が足裏を研究されるきっかけになったのはいつ頃なのでしょう?

私、子どもの頃は病弱で高校1年生を2回やっていますし、二人子どもがおりますが、流産を何度か繰り返しました。今も持病に心臓疾患があります。私の母は急性心不全で35歳の時に突然死。そのため私も母と同じ位の年齢まで生きられるかどうか…と。体育の授業はいつも見学でした。下に弟が2人いますが、母が亡くなった当時、末っ子はまだ5歳で母親代わりも務めました。そのうちに主人と出会い、健康になりたい、子どもを授かりたいと自分で勉強を始めたのが足裏を研究するきっかけでした。

――今は元気いっぱいでパワーが溢れていますが、健康法を研究されて足裏にたどり着いたのですか?

たくさんの医学があるなかで、たまたま出会ったのが足裏でした。足裏の健康法が日本にまだ入ってきたばかりで、文献を探しに大きな書店に行っても3冊しかなかった時代です。アロマがやっと出始めた代替療法が認知される前の段階です。鍼灸は「点」ですが1ミリ違ってもツボに入りにくい。反射療法は「面」からのアプローチのために効果が上がりやすく、お客様自身のメンテナンスも実践していただきやすいものだと感じ、臨床現場に取り入れるきっかけとなったのです。

――自由が丘のサロンは今年で開業28年ですが、一か所で長く足裏を研究されているのは他にないのでは?

当初はフェイシャルエステサロンを経営していました。どんなにキレイにするための施術をしても、対処療法でしかない。体質を根本的に変えなくては…という結論に至り、足裏をサロンで試すことで体質改善につながりました。アトピー、冷え性、便秘などバブルの終わりごろから不定愁訴を抱える人が多くなりました。足裏の勉強は、香港、ドイツ、フランス…と各国へ渡り学びました。でも解剖生理学的に日本人と西洋人は大きく異なり、例えば血管の太い西洋人はソフトな施術を好み、血管の細い日本人は圧をかけた施術を好むなど、お客様に合わせて施術を変える必要があると気づきました。また、東洋は苦いもの痛いものが効くと思われていますが、西洋は香りのよい心地よいものを好みます。

――そういう各国の文化的な背景があってこそ、日本独自のリフレクソロジーが誕生したわけですね。

今でこそ海外からもお客様がいらしてますが、28年前は看板も出せず広告も打てずに口コミだけでした。すべての人のトラブルに届くものを作ろうと、現場で実践しながら分析できたのはありがたかったし、様々な体質の方にお応えするためには、足裏反射療法に加えてデトックスや骨格の調整などの療法も必要だと気づきました。施術させて頂く方のトラブルに向き合って改良を重ねてきた結果、現在は6つの療法を融合した「自由が丘で生まれたセラピー」となりました。

温かな手はハッピーな証拠。

――「癒しと温かな手の学校」というセラピスト養成学校も作られています。施術される方の手が本当に皆さん温かい。

今、セラピストとして活躍している面々、はじめは皆お客さんとして通われていました。アトピーなど健康を損ねていたのが、足裏を刺激するうちに体質改善につながりました。スタッフで太っているものはおりません。足裏はダイエットに通じるものとして、ある媒体にコラムを3年連載していました。ダイエットというテーマがもっともわかりやすく多くの方に目に留めて頂けるから…という理由で1年に3~4冊ダイエット本を出していました。書籍にしたのは最近ですが、ベビーマッサージや子どもの足裏マッサージも、実はサロンで20年前からやっていることです。

『3分で愛情たっぷり!ベビーマッサージ(動画付き)』

――ダイエットは年齢不問でターゲットが広いですが今回子どもに絞って書いたきっかけは?

日本の未来を創るのは、子ども達です。サロンにもお子様が施術にいらしてたり、学校へも講演などに伺いますが、小学生くらいの子ども達が今とても辛そうに感じたことから、改めて足うらマッサージの良さを伝えたいと思うようになりました。どんな夢があるか聞くと、ある生徒からは100歳まで健康でいたいという答えがありました。確かに長寿の時代です。長生きすることが夢になることも大切だけれども、自分の人生において好きなことや、自分だけの夢を見つけて欲しいと願っています。感性が豊かで人間力のあるたくましい大人になってほしい。そして、これを通してお母さんも一緒に学んでほしいという思いから執筆させて頂きました。

――著書にも実践者の声が多数ありますが、具体的にどのようなことにつながっていますか?

「発達障がいのある子がおとなしく寝るようになった」「受験前の子どもが落ち着いて勉強するようになった」「睡眠の質があがった」など多数お声は頂きます。私の子ども二人は病気をまったくしなかったわけでなく、上の子は2歳になるまで入退院を繰り返しました。その体験から少しでも我が子の健康の助けになればと思い、始めたのがベビーマッサージです。おかげさまで小学生時代はずっと元気に半袖で過ごしましたし、二人とも足うらマッサージを楽しみにしていました。そんな彼らも長男は28歳、長女は25歳になりました。

――ちなみに足裏をマッサージしてお育ちになった二人のお子さんは今何をされていらっしゃいますか?

長男はやりたい道を見つけて大学で学業中です。長女は私と同じ道を選びセラピストとして仕事をしています。新刊に「かしこい子が育つ」というタイトルが付いていますが、賢さは勉強ができることではない。正しいことを判断でき、何処ででも生きていける力が賢さだと私は思います。

足りないことがあるのは素晴らしい。

――きよみ先生の幼少期はどんなお子さんでしたか?

九州の大分で暮らしていました。経済的には決して豊かではありませんでしたが、絵や音楽、スポーツなど興味を持ったものはいろいろやらせてもらいました。残念ながら母は早く亡くなってしまいましたが、一緒に生きた時代に母は私に何でも一所懸命に取り組むことを教えてくれた気がします。決して明るい性格ではなく、本を読むなどひとり遊びが好きなほうだったと思います。

『足裏セラピーで100%成功ダイエット』

――今の力強さがその時に培われたということですね。では、仕事をする上でどんな努力されてこられましたか?

私が大切にしてきたのは家族です。今でも家族4人で年一度旅行しています。家族の時間や約束は必ず守ってきました。今でも、家族会を定期的に決めて、美味しいお酒や会話を楽しんでいます。仕事をする上でも家庭の平和が一番の基盤となると考えるからです。

――親の背中を見て育つ、と言いますね。お子さんは何か習い事をされましたか?

ピアノ、サッカー、バレエ、公文、寺小屋のような塾など、何でもやらせました。娘の場合、バレエとピアノを続けてきて、ある時にどちらかを選ばなくてはならない時がきて、自分で音楽を選びました。好きなことを選ぶためには、決めつけずに何でもやらせてあげるほうがいいと思っています。地元の友達をたくさん作ってほしかったので小学校は近所の公立へ。2人とも中学受験をして私立の中高一貫校へ通いましたが、勉強はリビングでしていました。「足が疲れているから早く帰って来て」と言われて、マッサージをするために早く帰宅したこともあります。足裏マッサージを口実に、話を聞いてほしかったのでしょう。

――お子さんが足裏マッサージ効果を証明しているようですね。では最後に、これからのビジョンと共に、子育て中の親たちへメッセージをお願いします。

私は親としては足りないことだらけだったと思います。長男を生んだのと同時に起業しましたので、子供達と時間を共有することが余りにも少なかったと思います。そこに不安もありました。でも今子供たちが大きくなって思うことは、沢山の時間ではなく、想いや愛情を感じあえる関係であることが大切でした。ビジネスパートナーの夫も子育ても共にしてくれました。
自由が丘の地で28年足裏マッサージを続けてきて今、30周年に向けて次の世代に託すために変わる努力を積み重ねている時です。このマッサージ=温かな手で触れ合うことの大切さを日本中の人に知って頂きたい、そして家庭の中で実践して頂くために普及活動をしていきたいと思っています。

編集後記

――ありがとうございました!足裏マッサージは今でこそいろいろなところで施術してもらえますが、そうなるまでの歴史を作ってこられたのが何よりも素晴らしいと思います。子どものマッサージはスキンシップするだけで幸せ感育めますが、足ツボを押すことでさらに良いことがありそう。思わず今日から試したくなります。これからも応援しています!

2018年5月取材・文/マザール あべみちこ

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