シリーズでご紹介していく「避難ルートを実際に歩いてみました」。今回は沼津の「千本浜公園」です。
さて、この地域の津波被害想定についてはこのシリーズで以前ご紹介した「片浜・原地区」で扱った資料の中でも少し触れられています。
「千本地区から富士市五貫島まで延長20kmで整備された防潮堤の高さは、9m~17mあり、県第4次地震被害想定の最大クラスの津波3.6~5.0 mの想定高に比べて高くなっている」
という記述がそれです。この千本地区も「防潮堤より津波が低いと思われるため、防潮堤より陸側は津波による浸水の心配はないと想定している」ということですね。
上の図を見ると想定している津波の高さは5.0mなのに対して、防潮堤の高さ(白ヌキの数字)が10.8mになっています。
久しぶりに千本浜に行ってみると…
浜は防潮堤を含めて3段階で高さが上がっていきます。写真の左側、防潮堤のてっぺんは確かに海面から10mぐらいはありそうですね。
だからと言って「逃げないでいい」わけではありません。合言葉は「津波てんでんこ」。とにかく逃げるのが大原則です。
ということで千本浜で防災アプリ「高台サーチ」を起動してみました。「防潮堤を超えるような波からも逃げるぞ」ということで標高15m以上の高台を探します。
実は防潮堤の上でアプリを起動したのですが「現在地の標高」は0.8mとなっています。うーむ。まあそれは置いときましょう、結果は以下のとおり。
最短の高台は走って20分?
地元の人なら「近くに高台なんかないよ」とわかると思います。そのとおり、アプリが示した最短の高台は(なぜか31mの高さで)なんと走って19分以上。だいぶ遠くの香貫山(かぬきやま)に登り始めてやっとまともな高台です。
ここまで実際に歩いてみてもさすがに意味がないので、近くにある高台を探しましょう。そう、「ビル」です。実は先ほど載せた沼津市のハザードマップに、その「津波避難ビル」が図示されているのです。
津波避難ビルに逃げろ
このあたりは高層階の建物があまりありません。大勢の人を受け入れることのできる津波避難ビルとなると、ほぼ「学校」ばかりですね。
「波打ち際からこれらの学校の校舎まで」は、走れば3分ぐらいでしょうか。ただしこれだけの防潮堤です。登るのはなかなかしんどいので、体力がない方、体の不自由な方は大変そうです。
わたしはこの近くで10年以上働いていたので愛着がありますし、三島・沼津の人々にとっては一番身近な海岸。実は千本浜海水浴場は環境省認定『水質が特に良好な水浴場』に選ばれているほど水質がいいんですよ。
砂利なので白い砂浜とは無縁ですが「砂がつかなくてイイね!」とポジティブシンキングすればバッチリ。穴場です。
また「ポケモンGO」では「レアなポケモンが出現するスポット」としても知られているらしく、この日も浜ではなく、松林の中にたくさんの人がいてびっくりしました。
海の近くで遊ぶのは海水浴シーズンだけではありません。自分がいる場所、遊びに行きたい場所で想定されている津波の高さ、どこへ逃げるべきなのかは事前に把握しておこうと思います。