その日、大川小学校ではカメラがずっと回されていた。この山道を逃げればよかったのにと、悲しさ悔しさ申し訳なさでいっぱいになった坂道の上からも、カメラの前で話し続ける人たちの姿があった。
大川小学校。冷たい風にさらされるこの場所に「いる」ということだけが、かろうじて現実に少しだけ寄り添えるよう思える場所。何度訪れ、何度も目にしている光景にあらためて揺さぶられてしまう場所。2017年3月にどう号させてもらった株式会社ジェーピーツーワンの被災地支援ツアーで、同じことを思った。
1時間という滞在時間が長いのか短いのか、それはよく分からない。だけど、小学校の周りにあった町並みが完全に失われ、ただ校舎の壊されなかった一部だけが残る場所に、寒い風の中それだけの時間にわたって滞在する人はそんなに多くはない。
一行がバスに戻っていく時、ずっとカメラの前に立っていた人たちとの間で小さな交流があった。カメラの前に立っていたのは、小さな命の意味を考える会の代表である佐藤敏郎さんたち。大川小学校で起こったことを、自分の身内に起きたことのように考え、3.11には社内で追悼と復興を応援するイベントを行ってきた株式会社ジェーピーツーワンの人たちとの間でつながりが持たれたことには、縁というものを感じずにはいられなかった。
涙がつないだもの。しかし、涙だけではつなぎ続けていけない未来。
契られた小さな約束が未来につながっていってくれますように。