震災の2年後、2013年夏にオープンした長須賀つながりビーチ。4年目となる今年も、地元の夏の海を安全に楽しむための準備が進められている。
2013年のつながりビーチオープンの日、浜辺には子どもたちの笑顔が溢れていた。重機を使わなければ間に合わないほどハードなビーチクリーンに参加し、オープン後にはライフセーバー役も担うことになった地元の若者たち1人ひとりの表情にも、達成感と底抜けの喜びが躍動していた。
そして2016年。長須賀の浜は1年間の汚れをきれいにする活動が進められている。その最中、ビーチクリーンを担当するTSUNAGARIの石田寛道さんが言った。
「お骨はね、海底で浮くでもなく沈むでもなく漂っているんです」
お骨という言葉が笑顔で語られたことに正直少し驚いた。
石田さんは震災後、仕事を辞めて東北に移り住んだダイバーだ。震災から5年たった現在も海中の遺体捜索を続けている。そんな石田さんが言うには、海が荒れた後などに、以前はなかった場所で遺骨が見つかることはよくあるのだとか。だから陸上での捜索のように、この場所では見つからなかったとマークを書いていくことなどできない。海底を区画割りして捜索するのはあまり意味がない。
「海の中には流れがあるので、浜辺にはお骨が流れ着きやすい場所もあるんです。たとえばこのあたりとか…」
石田さんは浜辺に流れ着いたゴミを拾いながら「ありましたよ」と鎖骨らしき骨を見つけ出した。見つけたお骨が人間のものかどうかは専門家でなければ分からない。お骨は警察や役場などに届けて鑑定し、人骨であれば遺族に届けられるのだという。
ビーチクリーンには「地元の海で泳ぎたい」と切望した子どもたちも参加する。最初のうちはなかなか身が入らずに、すぐに遊び出してしまう子も多かったが、ビーチを清掃しているとお骨を発見することがあると教えると、子どもたちの目の色が変わったのだとか。
お骨という言葉に驚いた自分が遠くに感じ始めていた。自分もビーチの清掃をしながらお骨を探した。でも、自分はたくさんの人が亡くなられた場所で写真を撮っても他の人のようにオーブが写ることもないし、これまでに犬の骨1本すら見つけたことがない。たぶん無理だろうなと思っていたその時、石田さんの足下近くでお骨を見つけた。
宮城県では今年の3月時点で1,236人もの行方不明の人がいる。少しでも早く、ひとりでも多くの人を家族の元に返したい。ビーチクリーンでお骨を探すのは人として当たり前のことなのだと悟った。
ビーチクリーンは笑顔のために。地元の海で思いっきり泳ぐ子どもたちの、そして亡くした大切な人を迎える涙とともにある笑顔のために。
人が生きていること。人が生きてそして死んでいくこと。死んでいった人を悼むこと。長須賀のつながりビーチはたくさんのことを教えてくれる。
7月30日のオープンに向け、長須賀つながりビーチではビーチの清掃やオープン準備のボランティアを募集しています。たくさんのみなさんの参加を期待します!