ヒロシマからの道「2016年5月27日、焦土に咲いたもうひとつの花」

オバマ大統領のヒロシマでのスピーチが続いている。

「核兵器をなくすだけでは十分ではありません。たとえ粗末なライフルや爆発物であっても、人が人を殺傷するということ。私たちは私たちのマインドセットを変えなければなりません。私たちが過去に犯してきた過去から学ぶことができる。共通の人類という意識を持つことが重要なのだ」と。

踏み込んだ言葉だった。

ヒロシマの平和記念館の展示順路の最後に、原爆投下の1カ月後に被爆地で芽生え、そして花開いたカンナの花の写真がある。この写真を見たアメリカの大統領が、核兵器にとどまらない平和へのメッセージを、この町の空の下語っている。あの日、あのキノコ雲が立ち上った同じ空の下に立っていることの意味を。

焦土に咲いたカンナ
爆心地から約820m/基町(1945年(昭和20年)9月18日〜25日)

中国軍管区砲兵補充隊の焼け跡に、被爆後、再び芽を出したカンナは、涼しい秋を迎える頃、美しい花を咲かせた。
「75年間は草木も生えぬ」と言われた焦土の中で、これを見た人々は、再び生きる勇気と希望を抱いたという。

Canna Blooming in the Scorched Earth

引用元:広島平和資料館 図録「ヒロシマを世界に」

75年間は草木も生えぬと言われたこの場所に、あの日から71年後、新しい花が開かれようとしている。

表面的な言葉だけではないもの。ヒロシマからの道がカンナの花で彩られて続くことを希う。