――では、まとめとして今回の映画で異なる文化、異なる世代の二人の旅を通して表現したかったこと、そして撮影の苦労とは?
内容については監督が話した方がいいとは思いますが(笑)、プロデューサーとしては、中国・ヤマト(日本)・アメリカより以前の、古くからアジアの交流拠点として栄えていたという背景がある沖縄だからこそ、カナダの旅人と日本からの旅人(仮の宿という意味で)が出会い、2人が沖縄の旅を通じて自分とは異質なものを「受け入れる」ことの大切さを描いている点は、沖縄を象徴する気がしています。ロードムービーというと、一見低予算で割とスイスイ撮れそう…というイメージがあるかもしれませんが、その真逆ですね。車輛のセッティングも時間がかかるし、それに加え、今回は離島だけでも三つ、本島でも移動、移動、移動の日々。主人公達の物語にあわせてクルーも移動するわけですから、カバーセット(雨天のときに行う室内シーン)の用意が不可能に近かったため、本当にスタッフには苦労をかけました。
――ギッシリと濃い作品となっているのがよく伝わってきます。今後どのような活動計画をご予定されていらっしゃいますか?
昨年に引き続き、今年は自身の長編映画の種まきと、海外のドキュメンタリーのお手伝いをしていきたいと思っています。
編集後記
――ありがとうございました!大人であれば誰もが抱えている焦燥感。自分の人生これでよかったのか、もう一度生き直したい…という思い。深刻になりがちなテーマでありながら、思わず笑ってしまうユーモアがそこここに散りばめられていて観終わった後、自分も頑張ろうと爽やかな気分になれました。一人の人間として何かを選択できることが幸せなのだと示唆してくれる気がしています。今回、宮平さんのお話しを伺って映画プロデューサーのお仕事は多くのことをつなぎ合わせる大切な役目なのだと改めて感じました。沖縄の空気感がぎゅっと閉じ込められた作品です。
取材・文/マザール あべみちこ
2012年 モントリオール世界映画祭 世界に開かれた視点賞・観客賞ダブル受賞
監督・脚本: クロード・ガニオン
出演: ガブリエル・アルカン、工藤夕貴