2月6日未明、台湾南部を襲った地震の現地状況が次々と伝えられている。「地震の直後、真っ暗な中で建物が壊れていくのを感じた」「倒壊した建物から助けを求める声が聞こえた」といった報道もある。今まさに懸命な救出活動が続けられている状況だ。1人でも多くの命が救われることを祈る。
被災地の映像から見えてくる「脆弱過ぎる建物」
しかし、懸命な救出活動を伝える写真の背景に映し出された建物の壊れ方があまりにも酷すぎる。日本のメディアでも、倒壊した16階建マンションを中心に被災した建物の写真や映像が数多く伝えられているが、海外メディアのそれはさらに衝撃的だ。
「台湾地震の余波」と題されたMashable(マッシャブル)の記事には13枚の写真が掲載されているが、よく見るとマンションが倒壊した背景が浮かび上がってくる。
目を引くのは、ほとんどパンケーククラッシュ(途中階が潰れる形での倒壊)状態になった建物から飛び出した鉄筋の細さと数の少なさだ。太さはせいぜい20ミリ程度。しかも表面に突起を着けた異形棒ではなく、日本ではほとんど使われることのない丸棒。その上、鉄筋同士が交差する部分を結束した様子も見られない。10階建て以上の建物の鉄筋としては考えられない。
壊れた壁から飛び出た鉄筋は、ほとんど変形しておらず、コンクリート壁から鉄筋がそのまま抜けだしたように見える。明らかに建物の強度が不足しているのが分かる。
さらに驚くべきは下の記事に掲載された写真だ。
倒壊した建物の柱の中に、一斗缶サイズのオイル缶が詰められているのだ。
日本と同様、プレート境界に位置する台湾は地震の多い国だ。それなのにこんな施工が行われいたのは驚き以外の何ものでもない。このビルの倒壊が、構造や施工によるものかどうかは、今後の調査が待たれることになる。しかし、どう考えても一斗缶を積み重ねた上にコンクリートを塗った柱が、建築の基準を満たすもであることはないだろう。欠陥ビルであることは間違いない。
しかし免震ゴムや基礎杭の件など、日本企業による不祥事も続発している。欠陥ビルによる災害被害の問題は、決して対岸の火事ではないことを改めて考える必要がある。
「加油、台湾!」台湾南部地震への緊急支援
ヤフージャパンや楽天では、台湾南部地震の支援募金を行っている。東日本大震災で多くの支援を寄せてくれた台湾への「恩返し」との声とともに、被災地支援の輪も広がっている。