山登りのススメ Vol.23 ~四阿山&根子岳~

菅平牧場

長野と群馬県の県境にある日本百名山の四阿山(あずまやさん)。山の形が「あずまや」の屋根に似ているところから、この名がついたと言われている。山頂からの眺望が素晴らしく、嬬恋や菅平を望むことができる。

日本百名山の著者・深田久弥は四阿山とその隣にある根子岳について、この2つの山がなければ菅平の値打ちがなくなる。とまで述べている。確かにその通りで、なだらかで優美な稜線を持った2つの峰が並ぶその姿は、登山にそれほど興味を持たない人の目も引き付けるほどである。

四阿山&根子岳登山レポート

四阿山の登山コースはいくつかある。今回は菅平牧場の管理事務所の登山口から出発して根子岳を登った後に「大隙間」と呼ばれる峠を通り、四阿山の頂を踏むコースで登る。下山は、四阿山の山頂から中四阿を経由して菅平牧場へ下りる、いわゆる中尾根コースと呼ばれるルートを歩く。

菅平牧場の入口で入場料を払うと、登山口のある菅平管理事務所の駐車場へ向かう。駐車場は広く、約70台ほど停めることができる。

駐車場に到着すると、登山に必要なものをザックに詰める。天気は予報通りの晴れであった。朝だというのに日差しはすでに強く、帽子、サングラス、日焼け止めも忘れずに入れる。あまりの天気の良さに一瞬、レインウェアーはいらないのではないかと思ってしまうほどであった。

管理事務所の駐車場からは根子岳と四阿山への2つの登山道がある。登山口の標高は約1590メートル。

根子岳山頂へと向かう登山道を歩き始める。

根子岳山頂までのコース前半は牧草地の隅に沿うように作られている。草を食んだり、広い緑の斜面を歩く牛を見ながら少しずつ標高をあげていく。実にのどかである。

登山口から30分ほど歩くとあづまやが見えてくる。牧場を一望することができる絶好の休憩ポイントである。早朝出発の場合、ここで最初の休憩&朝食をとるのもいいかもしれない。

あづまやのある休憩地点から上を見ると目指す根子岳の山頂が見える。

そして、目を下に向けると広々とした牧場があり、遠くには連なる山並みが見える。

時間等の関係で山頂まで行けない方は、このあづまやまで登ってくるだけでも眺望を十分に満喫できると思う。

あづまやの先からは登山道の様相ががらっと変わる。緑が美しいダケカンバの林の中を歩く。

ダケカンバの樹木と牧場の組み合わせはとても絵になる。

山頂に近づくにつれて、なんだか雲行きが怪しくなってくる・・・。

天気の成り行きが少し気にはなったものの、このころはまだ幻想的な霧を楽しんでいた。

標高2207メートルの根子岳の山頂に到着。頂上はガスがかかっており、眺望は全くなし。そのうち晴れるだろうと思いながら待っていたのだが、霧雨が降り始めてきてしまった・・・。

状況が好転しそうにもないので、四阿山へ向かうことにする。

根子岳から四阿山は稜線を歩く縦走コースである。天気が良ければ素晴らしい展望が開けているはずなのだが、小雨が降っている状況では残念ながら眺望は望めない。

霧の先に広がっているであろう絶景を想像しながら歩く。霧雨が止みそうにもないので、途中でレインウェアの上着だけを着用する。

根子岳から「大隙間」までは下り坂が続く。その標高差は約170メートル。