重要な事は小さく発表されるということか。やるやらないで半年以上もめ続けてきたサブドレン計画。その運用が始まったが、東京電力が福島の事故原発の状況について毎日発表している「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」に掲載されたのは、たったこれだけ。
※サブドレン他水処理施設については、8月12日から8月25日にかけて、各装置、機器の健全性確認(漏えい確認を含む)を行い異常が確認されなかったことから、本日午前10時に建屋周辺の地下水を汲み上げ、サブドレン他水処理施設の運用を開始した。
「写真・動画集」には写真が2点。写真発表時には説明のためのPDFがついてくることが多いが、今回は写真のみ。説明するニュースリリースは発表されず。
「報道関係各位一斉メール」は、ちょっと詳しいがこの程度。目新しい情報は「41基あるサブドレンの内、山側にある20基から汲み上げた」ということくらい。
福島第一原子力発電所の汚染水対策の基本方針である「汚染源に水を近づけない」、「汚染水を漏らさない」の対策として設置したサブドレン他水処理施設について、本日(9月3日)午前10時より、41基あるサブドレンの内、山側にある20基から地下水をくみ上げ、運用を開始しております。
なお、午前10時40分、運転状態については異常のないことを確認しております。
本日くみ上げた地下水は、中継タンクを経て、集水タンクに貯められます。
また、本施設の運用開始にあたり、常務執行役福島第一廃炉推進カンパニー・プレジデントの増田からのコメントを、当社HPにてお知らせさせていただいております。
URL:http://www.tepco.co.jp/news/2015/1259122_6888.html
サブドレン他水処理施設の日々の運用状況については、当社HPに特設ページを設け、公表してまいります。
URL:http://www.tepco.co.jp/decommision/planaction/sub-drain/index-j.html
引用元:福島第一原子力発電所 サブドレン他水処理施設の運用開始に伴うサブドレンからのくみ上げ開始について|東京電力 平成27年9月3日
一斉メールにあった増田カンパニー・プレジデントのコメントはこれ。
お知らせ 2015年
(コメント)福島第一原子力発電所におけるサブドレン他水処理施設の運用開始について
2015年9月3日
東京電力株式会社
常務執行役
福島第一廃炉推進カンパニー・プレジデント
増田 尚宏
本日、福島第一原子力発電所におけるサブドレンから地下水のくみ上げを開始させていただきました。
汚染水の増加抑制対策の中でも重要な位置づけであるサブドレンの運用開始にあたり、福島県および漁業関係者をはじめ多くの皆さまのご理解をいただいたことにつきまして、あらためて心より感謝申し上げます。
サブドレンの運用にあたりましては、関係各所の皆さまの想いを真摯に受け止め、設備の管理に慎重を期すとともに、運用目標等を厳守してまいります。
サブドレンの運用を開始することで、「汚染源に水を近づけない」対策が大きく前進するとともに海側遮水壁の閉合が可能となり、「汚染水を漏らさない」対策も大きく前進いたします。地下水バイパス、陸側遮水壁、海側遮水壁等の様々な対策とともに、汚染水の「発生」・「流出」のリスクをより一層低下させてまいります。
廃炉・汚染水対策においては、サブドレンを含めた現場での多様な取り組み状況について、福島県民の皆さま、国民の皆さまに広くお知らせするとともに、地域の皆さまの声に真摯に耳を傾け、福島第一原子力発電所の安定と福島の一日も早い復興に向けて全力で取り組んでまいります。
以 上
具体的な内容に乏しい「あいさつ」でしかない。
サブドレン計画は、建屋周辺の地下水を汲み上げる井戸「サブドレン」と、岸壁近くの井戸「地下水ドレン」の水をタンクに集め、放射性物質の汚染処理を行った上で基準を満たしていることを確認の上で海(港湾内)に流すもの。
サブドレンで汲み上げる地下水は、建屋地下に溜まった高濃度汚染水が流入するリスクにさらされている。水位差のコントロールによって、汚染水が地下水に流れ込まないようにしているだけ。
地下水ドレンの周辺には何本もの観測用の井戸が掘られているが、そこから汲み出された水の汚染度はかなりのもの。事故から5年目に入ってなお、「過去最高値」が頻繁に更新されている。地下水の動きは複雑で、完全には読み切れないから、地下水ドレンで汲み上げる水の汚染度が突然上昇する可能性もある。
だから今回は、比較的きれいな地下水が取れやすい山側のサブドレンからの汲み上げを先行させたというわけだ。今回の検査結果が良好だったとしても、この先、海側サブドレン、さらに地下水ドレンの水が汲み上げられるようになってからこそ要注意。
今後の動向について、しっかり注視していかねば。