避難訓練のあり方について考える

暗闇の街(※イメージ)

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昨日、仙台市で夜間の防災訓練が実施されたことをぽたるページでご紹介しました。

災害時の避難訓練は、幼稚園で初めて参加してからもうかれこれ何十回となく経験してきました。しかし、その全てが明るい日中に行われたものでした。しかも雨が降っている場合は野外への避難行動は中止です。今日は夜間の避難行動と防災訓練のあり方について考えます。

夜間の避難について考えてみる

日没後の避難で一番懸念されるのはやはり暗闇です。地震や火災などが発生した際には停電になることも考えられ、真っ暗闇となるケースもありえます。

特に出口まで距離があるオフィスビルやマンションでは、灯りなしで逃げることは非常に難しいことが想像できます。仮に非常灯があったとしても必ず作動するという保証はどこにもなく、懐中電灯の備えは不可欠です。

その懐中電灯ですが、手の届くところに準備されている方もいるかと思います。ただ、設置の仕方には注意が必要です。

と言うのも、大きな地震になるとテレビや冷蔵庫などが飛んでくるといいます。当然、軽い懐中電灯はただ置いているだけでは飛ばされてしまい、暗闇ではどこにあるのかわからなくなります。また見つけたとしても壁などにぶつかって壊れている可能性もあります。懐中電灯の設置は激しい揺れも考慮しておくことが必要です。

また、灯りはできれば両手が空くヘッドランプを人数分用意した方がいいと思います。数人に1つでは、どうしても足元が見にくくなってしまいます。そのような状況では避難スピードにも差がでてきますし、転倒の危険性も高まります。二足歩行は想像以上に絶妙なバランスの上に成り立っている動作です。階段を下りている際、最後にもう一段あると思っていたら実は終りで体勢を崩したといった経験はないでしょうか。わずか1センチほどの段差に足が引っ掻かかって転倒する場合もあります。

一刻を争う時だからこそ、確実に足元が見れる状況であることに越したことはないと思います。

その他、避難で気がかりなのはドアや扉などです。例えばオフィスなどにある自動ドア。調べてみると停電時の動作の仕様はものによって異なるようです。なかには防犯対策の観点から停電の際にはロックされるものや、手動で施錠を解除できるものなどがあるようです。仮に手動で開けることができる場合、初めてのロック解除作業を暗がりでスムーズに行うことができるのか不安が残ります。

無事、建物の外に出た後も避難場所へ向かうまでには夜間特有の様々な問題が潜んでいることが考えられます。夜の避難訓練を実施しておくことで、事前に解消できる問題点もあるはずです。

また、暗がりでの避難行動は日中にはない心理的負担が生じ、判断を鈍らせたり、ミスを引き起こす可能性があります。しかし、たった1回の訓練を行うことで心理的な余裕に大きな違いがでてきます。

よりハードな状況下で避難訓練をすべき

今回、夜間での避難行動を想定して考えてみましたが、他にも雨など気象条件が悪い状況も考えられます。その場合は防災用品に簡易ポンチョがあるといいと思います。

夏場ならともかく冬の夜、濡れた状態で長時間野外にいることになれば、命にかかわる可能性もあります。風が強ければその危険性はいっそう高くなります。ポンチョが1つあれば雨だけでなく風への備えも格段に高まります。

これまで防災訓練のほとんどが晴れた日中に行われてきましたが、避難行動に困難が伴う夜間や雨天などの状況下、停電や避難路が通行できないことなども想定して実施すべきではないでしょうか。抜き打ちもいいかもしれません。

仮にすぐに実施ができない場合、様々な状況をイメージして避難行動を考えてみる(※できれば数人で)だけでも、新たな問題点の発見や心構えに差がでてくると思います。

Text:sKenji