1919年1月19日。今からちょうど96年前の今日、ワイマール共和国(※)で普通選挙が実施されました。現在の日本では成人の男女全員が選挙権を持っているのは当たり前かもしれませんが、当時としては大変先進的なことでした。
(※)ワイマール共和国は通称です。正式にはドイツ共和国。
ワイマール共和国と完全普通選挙について
ワイマール共和国は第一次世界大戦末期、帝政ドイツで起きた革命によりできたドイツ初の共和制の国です。女性にも投票の権利を認めた完全普通選挙が実施され、20世紀の民主主義憲法の典型と言われるワイマール憲法が公布されました。
完全普通選挙はワイマール共和国以前にもアメリカの一部の州やニュージランドなどでも実施されていたようです。しかし、普通選挙の権利や社会権などが明記されるなど、ワイマール憲法が当時としては画期的なものであったこともあり、普通選挙の歴史を見ると同国で行われた選挙は頻繁に取り上げられています。
ちなみに日本で女性も投票ができるようになったのは第二次世界大戦後の1945年のことで、GHQの主導によるものです。
普通選挙が持つもの
以前、ぽたるページでも少し触れたことがありますが、15年以上前にチベットなどの中国の自治区を訪れたことがありました。そこでは弾圧、人種差別、監視が当たり前のように行われていました。
チベットの首府、ラサの街をぶらついていたときのことです。一人のチベット人と話す機会があり、彼の自宅でチベット弾圧の歴史を教えてもらったことがあります。彼は外国人旅行者を見つけては、片言の英語でチベットの現状を伝えようとしていました。
ラサで出会ったチベット人は真の普通選挙を求めていたわけではありません。政府の弾圧や基本的人権がないことを訴えていただけでした。しかし、チベットなどの自治区で弾圧などのニュースを耳にする度にあの時のことを思い出し、主権が国民にある完全普通選挙が実施されている国に生まれてよかったと思います。
1月19日、普通選挙がもつ意味を考えたい
中国だけに限らずに今なお、普通選挙が実施されていない国は数多くあります。全ての国や地域で身分、性別、信仰、財産などに関係なく、自分たちの未来を決めることのできる世界になってほしい。1月19日の今日、普通選挙が持っているものついて、再度認識する日にしたいと思います。
Text:sKenji