夏山登山におすすめのコレ♪

登山雑誌の「山溪」の登山地図&計画マネージャ「ヤマタイム」発進!

山と溪谷社が登山地図&計画マネージャを開発&オープン。山岳雑誌の雄がネットで展開するサービス内容を覗いてみたら、なかなかの充実度。楽しめるだけじゃなく最近さかんに啓発されている「登山計画書」を手軽に作れる機能もあるらしい。ヤマケイの新しいWEBサービス「ヤマタイム」を画面キャプチャでご紹介!

基本操作はカンタンだ!

かんたんな使い方が地図上に記されたページがオープン。
左下の「説明を閉じる」ボタンを押して、登山地図にアクセス!
開いたページは北アルプスの穂高岳周辺だったけど、日本で二番目に高い山、北岳を表示させてみよう。(画像をクリックして拡大表示すると見やすいです。別窓で開けばさらに拡大して見られます)

地図のベースになっているのは国土地理院の電子地図のようだ。地図の縮尺は左手のスケールバーでも、マウスのホイールでも操作可能。

計画を立てる時には左と下のスペースを畳んで地図スペースを広げた方がやりやすい。

いまや北岳登山の玄関口「広河原」から山登りをスタートしよう。

ルートの所どころにある○ポツをクリックすると・・・

「ここを入山口に設定します」との表示。
なるほどそういう仕組みか。

そして画面右手にはコース計画の文字表示が現れた。出発時間を調整したり、その場所でやることを設定したり。

なるほど、なるほど。

要するに、ルート上の○ポツをクリックして、右側の文字表示で「やること」を指定していけばいいというわけだ。

一気に大樺沢二俣(おおかんばさわふたまた)までゴー!

これで無料は素晴らしい。意外と細かいところまでこだわってる

広河原沿いのルート上に「!」の文字。マウスをのせると・・・
「注意 右岸沿いの道」と表示された!

大樺沢沿いの登山道は左岸側の崩壊が進んでこの辺りは対岸の右岸沿いを登っていく。なかなか芸が細かい!

川や沢の右岸・左岸は水が流れてくる上流側から見ての呼び方。川に沿って登っていく登山者からすると、進行方向の左が右岸で右が左岸なのでご注意を!

大樺沢二俣に辿り着くと、右のコース計画のところに自動的に表示が増えた。プルダウンから休憩時間を指定すると、コースタイムに加算されるという仕組み。

さて、大樺沢二俣でルートが左右に分岐する。北側のルートの「カメラ」アイコンにマウスを載せると・・・
「みどころ お花畑」との表示!

それじゃ右俣ルートで、と小太郎尾根分岐までルートを進めてみると、意外と時間が掛かっている。

右岸・左岸は上流から見ての左右だったが、右俣・左俣は川下から見た時の左右なので、こちらもご注意を!

やっぱ左のルートにしよう、という時は地図の右上の「一つ戻る」ボタンでルートをクリアすることができる。

実際の登山じゃ無理なことがあれこれ試せるのが、登山計画の楽しさだ。

広河原から上ってきたそのままの方向に、ずんずん登って八本歯のコルへ。コルは稜線が凹になっている場所のこと。乗っ越しやすいから日本語でいう峠もコルの場合がほとんど。

それにしても八本歯と名付けられた稜線の凹地って・・・

ここでまたまた「!」が2つ登場。

下側の「!」は「左岸に登山道あり」。これは北岳バットレスと呼ばれる岩場でロッククライミングする人たちが登っていく道。落石の危険もあるから入り込まないでということ。

上の「!」は「落石注意」。これはバットレスからの落石への注意喚起。

この細かな注意はさすが、山と溪谷社。

バグも少しあるみたいだ。登山計画は自己責任でしっかりチェックを!

山頂へは八本歯のコルから北西に行くのが近道だが、南斜面の草付きは北岳有数のお花畑。斜面をトラバースする道を進めば、あのキタダケソウにも会えるかも。

ということでちょっと遠回りルートを設定。

そして痩せた岩尾根を登り返して、山頂を目指す。

あれれ、時間表示がちょっとヘン。
まだ始まったばかりのサービスだから不具合もあるのだろう。コースタイムは自分で検算しよう! 登山は自己責任の世界。自分の身は自分で守ろう!

北岳肩の小屋で「宿泊」を選択すると、ポンと2日目のコースタイム表示が示された。

計画だからそれでいいのかもしれないが、テント張って、ご飯食べて、星空眺めて、夜中に寒さで目が覚めたりして、日の出を見に早起きしてという宿泊タイムは山の大きな楽しみだ。

到着してクリックしてポンと2日目ってのは、ヘンに拍子抜けするものだった。

帰路は肩ノ小屋から小太郎尾根分岐を経由して右俣コース。お花畑の九十九折を下って行くことに。

広河原まで帰着。右下の「印刷・保存」ボタンをクリックすると、ここまで立てた登山プランを印刷したり、メールで送ったり、編集したり、さまざまに加工することができる。(無料の登録が必要だった)

コースタイムの隣にある「倍率▼」というボタン、気になっていた人も多いのでは?
このボタンを押すとコースタイム倍率という小窓がオープン。自分は標準タイムよりもずっと早く歩けるという人なら、0.9、0.8など入力。のんびり登りたい人は1.1、1.2などと入力すると到着時間や歩行時間が自動的に修正表示される。

ちょっと試してみたけれど、「倍率0.5」は北岳バットレスで岩登りして日帰りで帰ってくるような人のコースタイム。「倍率1.3」を超えると到着時間が遅くなって危険。もう少し安全な山でしっかり練習した方がいい、などと考えながら計画を検討することができそうだ。

計画を立てる楽しさだけじゃない、こんな便利も!

氏名、年齢、メールアドレスなどの情報を登録すると利用できるようになるマイページもなかなか使える感じだ。

これは! と思ったのは登山計画のみならず、実際の登山を記録することもできること。登録すると「山の履歴書」というコーナーで、上にも書いたコースタイム倍率を自動計算してくれたりもするようだ。

もちろん保存した計画には地図も表示される。

これぞ山と溪谷社! コースの水平距離と標高差がグラフ表示される。アルペンガイドの人気企画がこれまた無料。

そして何より素晴らしいと思ったのは・・・

登山計画書のフォームで印刷できること!

登山計画書(登山届)とは、「もしもの時」に捜索しやすいように、入山口などの登山届ポストに入れて提出するものだ。

そんなの書くのは面倒くさいと思う人もいるかもしれない。しかし、計画書は絶対的に必要なもの。なぜなら、山で迷ったり、怪我や病気で動けなくなって下山予定に帰宅できなかった時、「どこに行ったか」が分からなければ家族も友人知人も山岳レスキュー隊も探しようがないからだ。

そんなに高くない山でも遭難は頻繁に起きている。典型的なのが山から下っている時に登山道は曲がっているのに、そのまま尾根沿いの踏み跡(けもの道とかトイレの踏み跡とかに迷い込んでしまう。ウソみたいに思うかもしれないが、経験豊富なベテランでもけっこう迷い込んでしまうことがある)に入ってしまい、さらに崖から滑落するなどして動けなくなるというケースだ。

登山道沿いでないから、他の登山者に見つけてもらうことは困難だ。山で怪我して、まわりに誰もいなくて明かす夜って、心細いし本当に怖いしいものですよ……。

しかし、どのルートを行ったかが分かれば、迷い込みやすい場所を重点的に捜索することができる。見つけてもらえる確率がまったく違う。

ひとり暮らしの人でも、友人・知人に行き先を伝えておくべきだ。フェイスブックなどを使う手もある。

提出する登山計画書に必要な項目は、氏名、年齢、性別、住所、連絡先、入山から下山までの予定を記した計画、予定コースの略図、エスケープルート、食料や水の量など。

エスケープルートや食料や水が何日分かといった項目以外の最低限の内容を網羅した登山計画書がプリントアウトするだけで出来ちゃうのだ。

あとはこれを3枚プリントアウト。1枚は家族に、1枚は自分用に、もう1枚は登山届ポストに。(計画書を友人にメールできるのは、そういう意味でもありがたい)

結論は、とても素晴らしい登山ページってこと

計画を立てる楽しさがある。計画を知り合いと共有できる楽しさもある。登った山の記録もできるし、山行記録として公開することもできる。そして登山届の作成も簡単。

少々バグがあったり、まだ著名な山域にしか対応していなかったりもするけれど、みんなが使って、どんどん発展してほしい登山計画総合サービスだ。