2014年7月14日 今日の東電プレスリリース

5号機の海水漏れは水を被った周辺施設の健全性を損ねていた。漏れたのが海水だからといって油断はできない

7月14日(月曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。

土木工事による断線で地絡(地面への漏電)が発生

※7月14日午前7時28分頃、予備変メタクラ*において地絡警報が発生。現場を確認したところ、予備変メタクラから供給している構内配電線2号線のしゃ断器が開放していることを確認。

その後、構内配電線2号線から電源を供給されている負荷を調査した結果、多目的運動場照明用受電設備の電気回路について絶縁抵抗値が0オームである(地絡している)ことを確認。また、同設備へ供給しているケーブルが断線していることが判明。これらの原因については、1~4号機サブドレン浄化設備付属土木関連工事においてケーブルを断線してしまったものと判断。

これにより、構内モニタリング車による測定が出来なくなったため、午前9時10分より、代替措置にて測定を実施していたが、電源が復旧したため午後1時30分より通常監視を再開。構内モニタリング車と同様に絶縁抵抗値等に異常がなかった負荷については、順次復旧を実施し、午後1時48分にすべて復旧が完了。

なお、予備変メタクラ以外の電源設備、1~6号機の主要設備および関連パラメータに異常は確認されておらず、モニタリングポスト指示値に有意な変動は確認されていない。また、本件によるケガ人は発生していない。
現在、地絡が発生した当該しゃ断器については、開放中で装置は引き抜いた状態になっている。また、断線したケーブルについては、今後修理を検討する。

また、同日午前7時31分頃に多核種除去設備の電気品室において火災警報が発生したが、午前7時38分に現場に煙等がないこと当社社員が確認。午前7時51分に再度当社社員による現場確認を実施し、火災および煙の発生がないことおよび多核種除去設備の運転状態に異常がないことを確認。その後、午前8時2分に双葉消防本部へ一般回線にて連絡。その後の調査により、今回発生した地絡との直接的な因果関係が確認されなかったことから、火災報知器単体の故障であると判断。火災報知器については、点検および感知器の交換を実施し、午後2時27分に通常状態に復旧。

*メタクラ:所内高電圧回路に使用する動力用電源盤

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年7月14日

ALPSの電気品室での火災報知機の警報発生も同じ項目として扱っている不思議。

5号機補機冷却海水系の水漏れで、被水した施設の健全性低下と復旧について発表

原子炉建屋地下階設備において、漏えいした海水が被水した設備への健全性を確認した結果、

炉心スプレイ系ポンプ(A)室空調機本体およびケーブル端子箱内部に浸水があり、空調機用ケーブル接続部の絶縁抵抗が低下していることを確認。

これらについては、被水箇所の清掃およびケーブル接続部の再端末処理を行い、当該部の絶縁抵抗が通常値に戻ったことを確認。また、空調機のフィルタについても交換を実施。

被水した設備のうち、炉心スプレイ系ポンプ(A)(空調機および電動弁を含む)、原子炉建屋機器ドレンサンプ*2Aポンプ(A)、トーラスサンプポンプ(B)について確認運転を行ったところ、

炉心スプレイ系ポンプ(A)室空調機の電動機の振動が高いことから、7月14日より当該電動機の点検・手入れを実施。その他の設備については、異常は確認されなかった。

また、原子炉建屋機器ドレンサンプAポンプ(B)については、サンプ内の水位が低くポンプが起動できないことから、サンプ内に水が溜まってから確認運転を実施する。

*2サンプ:各建屋内の機器(ポンプ・配管等)からの排水・漏えい水等を処理するために一時貯蔵するための水槽。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年7月14日

1号機~6号機

新規事項なし

◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送中(平成26年7月10日午前10時28分~)

◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年6月16日午後2時42分~)

◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動(4号機原子炉建屋および共用プール建屋の天井クレーンと燃料交換機の年次点検により、一時中断)
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

共用プール・水処理設備および貯蔵設備

新規事項なし

◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中

地下水バイパス ~通算10回目の海洋排出を開始~

※1~4号機原子炉建屋等への地下水流入抑制対策として設置した地下水バイパス設備について、地下水バイパス一時貯留タンクグループ1の当社および第三者機関による分析結果[採取日7月3日]については同等の値であり、ともに運用目標値を満足していることを確認したことから、7月14日午前10時33分、海洋への排水を開始。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年7月14日

H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果

◆最新のパトロール

平成26年7月13日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年7月14日

◆H4エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年7月14日

◆H6エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年7月14日

1~4号機タービン建屋東側

新規事項なし

1~4号機サブドレン観測井

新規事項なし

地下貯水槽

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年7月14日

以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年7月14日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太