東北よりも南の地域に暮らす人たちには想像しにくいことかもしれませんが、当たり前のこととして冬は雪が降ります。いくら東北のなかで温暖とされ、「東北の湘南」との別名を持つ土地が10以上もあるような東北太平洋沿岸部でも、やはり雪は降ります。積もります。
今年のように「異常」と思えるほど降り積もる年もあります。
たとえば、南三陸町の防災総合庁舎。赤い鉄骨がむき出しになった姿があまりにも有名なってしまいましたが、冬の朝にはこうして雪化粧することもあります。
もともとは外壁が白かった防災総合庁舎。雪の日には、元の姿に戻りたいと思っているのかもしれないなんて、雪に覆われた姿を見ていると考えてしまいます。
写真は2014年1月2日のもの。雪が積もれば祭壇もこのとおりです。
その後、2月以降はさらに深い雪の日が続いたそうです。
見慣れた写真で知っているだけがすべてではないということを、改めて自戒を込めてこころにとどめようと思います。
雪が降るだけで景色が一変する。知っている気になっている景色はかりそめのものでしかありません。
この場所で生きている人たちは、雪の冬の日も、花の春も、初夏の長雨も、暑いけど短い夏も、長い秋も。そういう時間とともに、この被災地で残るか、出て行くか、どうするかという判断に直面しながら日々を過ごしていらっしゃるのです。
三年は区切りではなく、四年目の始まりです。
写真と文●井上良太