FIFAコンフェデレーションズ杯2013がブラジルで開催されています。2014年ブラジルW杯のプレ大会として位置づけられており、開催国のブラジルを筆頭にFIFAランキング上位3ヵ国であるスペイン、イタリア、ウルグアイを招待し、日本、タヒチ、メキシコ、ナイジェリアの計8ヵ国が母国のプライドをかけて戦います。本気モードの強豪国を相手に日本がどこまで渡り合えるのか?ザックジャパンの集大成を世界で試す重要な大会になりました。
予期されていた3連敗で世界との差を見せつけられた・・・
コンフェデレーションズ杯、第3戦の相手はメキシコです。日本はグループリーグ敗退が決まっているものの、何としても結果を残したい大一番になりました。システムは4-2-3-1。GKは川島。DFは左から長友、今野、栗原、酒井宏樹。MFはボランチに遠藤と細貝。3枚の攻撃的MFは左に香川、中央に本田、右に岡崎。1トップは前田という布陣。
対するメキシコはMFドス・サントスを中心に、巧みなパスワークと圧倒的な個人技を武器にして破壊的な攻撃力を持つチーム。1対1の攻防に弱いとされる日本が組織とスピードでどこまで世界と渡り合えるのか?そこに焦点が集まりました。
ゲーム序盤は日本が主導権を握ります。イタリアから3点を奪った自信を糧に、リスクを恐れず2~3列目のアタッカーがバイタルエリアに次々と進入。華麗なパスワークで決定機を何度も作りました。しかし、前半でチームは失速。後半は運動量が落ちてポゼッション率が著しく低下し、メキシコの巧みなパス回しと個人技に圧倒されてズルズルとディフェンスラインが下がりました。後半9分、左サイドをドリブルでえぐらるとアーリー気味のクロスを中央でエルナンデスに合せられて先制点を許します。
後半21分、右コーナーキックからまたしてもエルナンデスにヘッドを決められて2失点目。一矢報いたい日本は後半41分、ボランチの遠藤が右サイドに飛び出して決死のグランダークロス!これを岡崎が執念で押し込んで1点差に詰め寄りますが時すでに遅し・・・。結果は1-2の惜敗。またしても惜敗です!日本は3戦全敗で最下位に終わり、世界との差を見せつけられる形になりました。
惜敗の原因は決定機を仕留め切れないこと
決定機を確実に物にして2点を先制したメキシコに対し、日本はペースを掴んでいた前半20分までに得点する必要がありました。前半5分、香川が遠藤のスルーパスに反応してGKと1対1になった場面。冷静にシュートをゴールに流し込んでいれば勝機は見えたと思います。今大会、勝負所で決定力を発揮する日本人は岡崎慎司ただ1人でした。フィニッシャーとして期待された香川真司はペナルティエリアでシュートを打たず、前田遼一は決定機をことごとく外しました。
ポイントゲッターが岡崎1人では強豪国に競り負けるのも当然の結果です。ブラジルもイタリアもメキシコも得点源となるストライカーを複数持ちます。日本のフィニッシャー不足は深刻ではないでしょうか。現行の戦力で世界と戦うのは不可能なことが証明されました。決定機に佐藤寿人がいたら・・・豊田陽平がいたら・・・工藤壮人がいたら・・・。1-2の惜敗も3-2の勝利に変わっていた可能性もありえます。
世界との差でよく言われることは、強豪国は決定機に余力を残してプレーしているということです。日本の選手は全てのプレーに体力を使いすぎてシュートでパワーを出し切れない、冷静さを保てないと言われています。メキシコの選手は老獪なパスワークで日本のプレスをいなし続け、バイタルエリアに入るとスイッチを切り替えて一気にスピードアップ。緩急を付けた鋭い動き出しに日本のDFは対応できず、決定機にフルパワーでシュートを叩き込まれました。
怪我人の本田、長友を使い続ける必要はあったのか?
3試合とも足を引きずりながら試合を終えた本田圭佑と、メキシコ戦でガス欠を起こしてピッチ上で悶絶し、負傷退場した長友佑都を最後まで引っ張る必要はあったのでしょうか。コンディションが安定していた中村憲剛をトップ下に置き、攻撃に期待が持てる酒井高徳を左サイドバックに起用していれば、後半にペースが失速してメキシコにゲームを支配されることもなかったでしょう。
コンディション不良の選手を先発に固定し、ドイツW杯で大敗を喫したジーコ監督の迷走は有名です。選手間に序列を作るチームは1度コンディションが低下すると歯止めが利きません。疲労困憊のエースをフル出場させてもチームにプラスはありません。先ずは今が旬の選手、そして90分走れる選手を起用することが大前提ではないでしょうか。
失点からシステムを3-4-3に変更する指揮官の迷走
1点のビハインドから指揮官が決断した答えはまさかの3-4-3でした。過去に1度も結果を出せなかったシステムを最後の切り札にしたのは何故でしょう?ザッケローニ監督にそれを質問しても明確な答えは返ってこないでしょう。おそらく、指揮官は「テンパっていた・・・」というのが真実だと思います。
結局、3-4-3はフィットせずに2失点目を食らい、さらに長友が負傷退場してゲームプランは崩壊の一途をたどりました。迷走するザッケローニは中村憲剛を投入してシステムを4バックに戻し、センターバックの今野を左サイドバックに入れて攻撃力は更に低下!
指揮官の迷いは選手の動きにそのまま反映されました。効果的とは思えないシステム変更と選手交代をクルクル繰り返しては、チーム戦術が機能するとは思えません。ノープランで送り出された中村憲剛はピッチで何をイメージしたのでしょうか?
W杯本大会までの1年間、ゼロからチームを作り直すときが来ました。海外ブランドである本田、香川のレギュラー固定は完全白紙。監督交代も現実的になりました。これから革命が起きる日本代表は必ず面白いチームになります。筆者は期待しています!