【サッカー日本代表】日本VSイラク・・・消化試合にはならない!控え組がレギュラーを脅かす!《W杯アジア最終予選》

現在、サッカー日本代表は2014年ブラジルW杯の出場に向けて、アジア最終予選でし烈な戦いを繰り広げています。2013年6月11日、W杯アジア最終予選、日本VSイラクが行われました。素人サッカーファンである筆者の独断と偏見による対戦レポートをお届けします!

消化試合とは呼べないサバイバルマッチ

先のオーストラリア戦でW杯出場を決めた日本代表。本大会までの1年間、ザッケローニ監督は全ての試合をサバイバルマッチとして熾烈なレギュラー争いを選手に義務づけました。日本のシステムは4-2-3-1。DFは左から長友、今野、伊野波、酒井宏樹。MFはボランチに遠藤と細貝。攻撃的MFは左から清武、香川、岡崎。1トップはハーフナーという布陣を組みました。オーストラリア戦からレギュラーメンバーを大幅に入れ替えて、控え組にはビッグチャンスを与えられた1戦でした。

玉砕覚悟で攻め込んだイラクを抑えたDF伊野波

イラク代表は負ければW杯出場が絶望となるため、序盤からファール覚悟で身体を削りにくるハードプレーで真っ向勝負を挑んできました。各上の日本に対してもディフェンスラインを引いてカウンター気味に構えることはなく、サイドアタッカーが強引にドリブルで進出し、FWのマフムードを中心にシュートを打ちまくる押せ押せの展開。

日本はいつ失点を食らってもおかしくない状況が続き、ズルズルとやられてしまう状態でもDFが身体を張ったブロックで好プレーを連発。先発したDF伊野波は1対1に強さ発揮し、堅実なカバーリングで攻撃をシャットアウト。レギュラー組にも引けを取らない実力を示しました。仮に今野が出場停止になっても、伊野波がDF陣を統率するスイーパーの役目を果たせるのではないでしょうか。

攻撃では清武、酒井宏樹がレギュラーを脅かす

名手、遠藤でさえもキックミスを連発する最悪のピッチコンディション。日本が得意とするパスワークと組織の連動性から生まれる攻撃が見られないなか、個人の力で気を吐いたのが清武と酒井でした。内田篤人からレギュラーを奪い取る勢いを見せた酒井宏樹は、ピンポイントの高速クロスとドリブル突破で右サイドを制圧。縦への突破が少ない内田とは一味違う、ドリブルという新しい武器を提供してくれました。

左MFに入った清武弘嗣も必殺のキラーパスで幾度となくDFを切り裂き、右足から放たれるクロスはハーフナー・マイクの頭にピタリと合わせる精度の高さを見せつけました。組織的な連動に乏しい状況下でも一発のパスで打開できる清武の右足は、超アウェーでも戦況を一変させる力があります。

トップ下追試の香川は持ち味を出せず

一方で本田不在のトップ下として追試を受けた香川真司は合格点には程遠い内容。1トップのハーフナーと縦関係が上手く築けないまま終わってしまったという印象です。ペナルティボックスに近い位置で前を向いてボールを貰うことができず、ドリブルを開始するタイミングを失いました。

香川のストロングポイントはドリブルであり、ボックスの手前から一気にフィニッシュまで持っていける突破力です。この試合では中央でのボールキープやパス回しに奔走されて、ペナルティエリアに近づくチャンスが得られませんでした。この問題を解決するにはハーフナーがボックス内でボールを収めるか、ボランチが前に出てゲームメークの1部を負担するしかありません。この試合でも香川のトップ下は迷走の一途をたどりましたね。

悪い試合内容でも勝利したことは収穫

勝利しかW杯への道はないイラクは、終盤からDFを前に出して点を奪いにきました。後半45分、ギリギリの時間帯で中盤からボールを奪い、広く開いた前線のスペースを突いて岡崎、遠藤とボールを繋ぎ、最後は岡崎が泥臭くゴールを押し込んだカウンター攻撃は見事でした。

試合内容が悪くても最後は形を作れる日本代表に強いメンタリティーと底力を感じます。6月15日から始まるコンフェデレーションズ杯に向けて期待の持てる勝利だったと思います。初戦のブラジル代表に対してどこまで粘り強い戦いを見せられるか、楽しみにしたいと思います!