アルガルベ杯でベールを脱いだ新生なでしこジャパン。2年後のカナダワールドカップ、3年後のブラジル五輪に向けて、若手に経験を積ませるという佐々木監督の狙いが話題を呼びました。澤、宮間らのベテラン組を外し、U-20代表から田中陽子、田中美南など初代表組を多く選出した新生なでしこ。今大会で注目の選手をピックアップしたいと思います!
【長船 加奈】おさふね・かな
生年月日:1989年10月16日(23歳)
出身地:大阪府豊中市
身長 体重:170cm 55kg
在籍チーム:ベガルダ仙台レディース
ポジション:DF
背番号:2
スピードと高さを備えるニュータイプセンターバック
170cm55kgという世界トップレベルでも十分に通用する身体能力を持つ長船加奈。空中戦の強さだけでなくスプリント能力にも長ける万能型センターバックです。アルガルベ杯では4試合中2試合に先発出場し、ノルウェー戦では岩清水、中国戦では熊谷とコンビを組んでディフェンスラインを統率しました。
長船のストロングポイントは1対1のマーキングの強さ。フィジカルコンタクトの強さはDF陣のなかでも群を抜き、欧州のFWと対峙しても空中戦で競り負けることはなく、加えて類まれなアジリティの持ち主でバイタルから突破を仕掛けられてもスピードで振り切られることはありません。
ディフェンスラインを統率するスイーパータイプ
日本代表の長身DFは熊谷紗希の存在が挙げられます。熊谷は172cmという高さを生かし、前に出るインターセプトの強さを武器にする攻撃型センターバックです。それに比べると長船はバランスを重視したポジショニングでディフェンスラインの裏をカバーリングするスイーパータイプと言えるでしょう。
ポジショニングのミスから相手に裏を取られても、快足を飛ばしてポジションを修正できるのが強みです。1対1のマッチアップでは体の使い方が巧く、強烈なスライディングタックルでボールを奪う技術を持ちます。岩清水梓の後継者と目されており、将来的には熊谷と長船の大型センターバックコンビが待望されています。
正確なロングフィードが武器、ビルドアップに課題
インステップで蹴る20~30メートルのロングフィードは糸を引くような速くて正確なパスを出せる長船加奈。その一方でプレッシャーのかかる場面でのパスミスが多く、ノルウェー戦ではゴール前の致命的なキックミスから相手FWにインターセプトされてゴールを許しました。今後、ビルドアップ能力に磨きをかけて最終ラインからゲームを組み立てる戦術眼を身に付ける必要があるでしょう。
総括
なでしこジャパンはセンターバックの人材不足が問題の1つです。長船加奈はスピードと高さを備える数少ないセンターバックの1人です。国際経験を積むことで、岩清水と熊谷を脅かすDFに成長することを期待します!