開放感抜群!平内海中温泉に癒される【旅レポ】

一見すると海と温泉の境目がわからないほど、海が近い。水平線はどこまでも続き、さながら海水浴気分である!なのに、お湯はじんわりあたたかい。中でもあったかいポイントがあり、そこから源泉が噴き出ているのがわかる。あぁ、これはヤミツキになるかも知れない・・・。

実は温泉も見逃せない屋久島

屋久島を訪れたなら、どうしても入っておきたい温泉があった。平内集落にある平内海中温泉。入浴時間は1日2度、干潮時刻の前後のみ、海から姿を現す岩場の温泉である。

屋久島の見どころと言えば、縄文杉やウィルソン株といった山がフォーカスされがちだが、実は温泉が熱い・・・いや、アツいらしい。なんでも、島には5つも温泉があり、島を存分に遊んだあとは、温泉でその疲れを癒すのがツウの楽しみかただとか。中でも平内海中温泉は、海の中から源泉が湧き、その潮汐に影響を受けるためか特に人気が高いという。

温泉好きを自称する僕だが、このような海中温泉は入ったことが無かった。まして屋久島を訪れたのは8年ぶり。前回は海中温泉の存在すら知らず、登山やキャンプに終始した。「屋久島に行きたい」とは思うのは簡単だが、そうそう気軽に行けるものではない。じゃあ、この海中温泉いつ入るの?

「今でしょ!」

僕は宿泊先の「ライダーハウス とまり木」を出発。レンタバイクを飛ばして平内海中温泉を目指した。

平内海中温泉は島の南側。島の玄関口である宮之浦(港)や小瀬田(空港)からは結構な距離だが、屋久島の外周道路の風景も飽きないもので、つい寄り道したくなる。ただ、ちょうど干潮時刻が近かったこともあり、まさに絶好の入浴時間に差し掛かっていた。豊富な道草を食うのはぐっと我慢。外周道路を40分ほど走ると「平内海中温泉」を示す看板が見えてきた。

圧巻のロケーション!波飛沫あがる岩場の温泉

ざーん。

目の前に広がるのはまるで東映(!?)の映画を思わせるかのような海!波!岩!

「ひょー!」

とでも叫びたくなるような、爽快な景色がすぐそこだ。「わーわー!」と、その屋久島のダイナミズムを写真におさめていると、

「ごめんね、その向きで撮影はやめてね。」

と、近くのおっちゃんに注意されてしまった。まったく気づいていなかったのだが、僕が視線を向けていた先にこそ、まさにその平内海中温泉があったのだ!幸い、都合の悪い写真はなかったものの、ここは水着・下着不可の混浴露天風呂。ごく遠目だが、入浴者もいるようだ。注意をされるのも無理はなかった(※)。僕はカメラをしまい、志(入浴料:100円)を料金箱に入れて入場した。


※「入浴者のいない景色を撮るのは可」とのこと。

まるで銭湯のよう。島民の憩いの場

「む、ちょっと待て。これどこで着替えるんや!」

そう思うのも無理はなく、この温泉、小屋ひとつ見当たらない。温泉の手前には屋根付きの岩陰があり、そこには先客の衣服や手荷物が置いてある。どうやらここらしい・・・。遠目からだと隠れるようになっているので安心したが、男ながらに屋外で服を脱ぐのはわりかしキンチョーした。

それでもこのロケーションにはわくわくせずにいられない。溶岩でイビツなカタチとなった黒い天然浴槽。指を浸けるとじんわりあたたかい。さっそく掛け湯を・・・

「あの、良かったらこれ使ってください」

「ふぁい?」

女性の声に思わず声が裏返ってしまった!振り返ると30代くらいの女性が僕に洗面器を差し出してくれているではないか!女性は体を覆うようにキャミソールを着ていたが、無防備すぎた僕の方は思わずテンパってしまった。脱衣所にたたまれた服は男物ばかり。すっかり油断していた。僕の情けないリアクションはともかく、女性は島の奥さんらしく馴れたご様子。湯船につかりながら、やはり島民と思しきおっちゃんと談笑していた。

もともとこの温泉は平内集落の憩いの場。てっきり男性客ばかりと思っていたが、女性にはタオル、キャミソール、パレオなどの着用が認められており、女性客もそれなりに訪れるらしい。入浴料も100円と安かったように、温泉よりも銭湯という感覚が近いのかもしれない。それこそ老若男女、今晩の食事はなんだの、明日はどこへ遊びに行くだの、他愛のないほのぼのとした会話が繰り広げられていた。

温泉もそうだが、この温かい雰囲気は島特有のものだろうか。今は旅の途中である。しかし、自宅に帰れば隣人の顔すらも僕は知らない。それが、この島では集落で共有している温泉があるのだ。しかもこんな絶景で。しかも老若男女関係なく。この風景につい癒されるのは、きっと理由があるのだろう。

とは言え、ついさっきまで、男のくせに妙にキンチョーしていた僕。ちょっと器が小さかったなぁ(笑)。

平内海中温泉

無休、干潮前後の2~3時間入浴可、入浴料(100円の志)宮之浦港より車で約60分、屋久島空港より車で約40分【源泉掛け流し:硫黄泉】※混浴露天風呂(女性のみパレオなどの着用可)

まだまだ「島記事」あります。

思い付きで島旅を楽しむ「僕」こと tanoshimasan が、北は北海道から南は沖縄まで「日本の島々」を紹介するエンタテインメント記事集です!
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