【U-23日本代表】日本VS韓国・・・万策つきた日本、メダル獲得に一歩及ばず 《ロンドン五輪》

ロンドンオリンピック開催日に先立ち、男子サッカーの試合が始まりました。今回は8月10日に行われた関塚ジャパンの銅メダルをかけた3位決定戦。日本VS韓国の試合を振り返ってみたいと思います!

3位決定戦で試された日本の実力

日本が準決勝に進出したことは少なからず世間を驚かしたようです。この勢いのまま決勝進出に!優勝も夢じゃない!そんな楽観的な見方が広まっていた矢先、準決勝でメキシコに1-3の惨敗。夢はもろくも崩れ去り、現実を突き付けられた日本。関塚ジャパンは本当に強いのか?そんな疑問を抱いた視聴者も少なくないのではないでしょうか。銅メダルを争う3位決定戦は、日本の真の実力が試される一戦となりました。

日本のシステムはいつも通りの4-2-3-1。永井を1トップに置いて、その下に攻撃的MFを3枚起用。左に大津、中央に東、右に清武という布陣。対する韓国も日本と同じ4-2-3-1というフォーメーションで挑みます。高さとスピードのあるパク・チュヨンを1トップに置いてそこにボールを集め、2列目がセカンドボールを拾って遠目から積極的にシュートを狙うシンプルな攻撃が狙いです。

分かっていた韓国の戦術に対応できず・・・

ゲーム序盤、韓国は中盤を省略して縦に長いボールを放り込んできます。日本は前線からの激しいチェックでボールを追い込みに行きますが、ロングボールでその上を越されてしまうためにプレッシングが機能しません。韓国のFWパク・チュヨン、攻撃的MFのチ・ドンウォン、ク・ジャチョル、パク・チョンウはスピードがあり、その4人をディフェンスの裏に走り込ませて一発のカウンターを狙います。何度もロングボールを放り込まれているうちに日本のディフェンスはズルズルと引き下がり、最終ラインと中盤の距離が間延びしてバイタルエリアに危険なスペースを与えていました。

前半38分、ロングボールの目測を誤った吉田がボールを後ろにそらし、パク・チュヨンが鈴木と1対1となります。日本のDFが懸命に戻りますが、パク・チュヨンはDFを巧みなドリブルでかわしてシュート。これがニアサイドを抜けてゴールに右隅に突き刺ささり韓国が先制点!狙っていたカウンター攻撃が見事にハマります。

最悪のピッチコンディション、ボールを持たされカウンター攻撃の的に

日本は中盤で細かくボールを回しながら両サイドの大津と清武を中心にサイドアタックをしかけますが、荒れたピッチコンディションの影響を受けてパスボールが走らず、ゲームを上手くコントロールできません。先制点を奪った韓国はディフェンスラインを引いてゴール前に守備のブロックを築きます。支配率では日本が韓国を上回る展開ですが、ボールを支配しているというよりはボールを持たされているといった状況が続きます。

後半13分、中央に蹴り出されたロングボールをパク・チュヨンが頭でそらし、裏から抜け出してきたク・ジャチョルが鈴木を振り切って右足でシュート。これが決まって韓国が追加点を奪います。前に出るしかなくなった日本はFW杉本とMF宇佐美を投入して攻撃のリズムに変化を持たせますが、最後まで韓国のディフェンスを崩し切れずに試合終了。日本は0-2の完敗を喫して銅メダルを逃しました。

エジプト戦をピークにチーム力が下がった

『堅守速攻』をテーマにしてベスト4まで勝ち上がってきた日本。しかし、準々決勝のエジプト戦をピークにしてチーム力は大きく下がってしまった印象を受けます。日本のチーム力を支えていたのは運動量と組織力。しかし、中2日という厳しいスケジュールの中、最後まで体力を維持することは不可能に近いことでした。今大会に入る前、関塚監督は理想ではなく現実を選び、守りを重視したカウンター戦術を採用。スピードとフィジカルに優れた選手を優先的に選考していました。

個の力で勝てないなら組織でそれを補うのが日本のサッカーです。怪我をしてコンディションを落とした永井を最後まで1トップに起用したのは関塚監督の信念だと言えるでしょう。しかし、運動量の落ちたチームに全員守備のカウンター戦術しか与えられなかったのは問題でした。オリンピックのような短期決戦の場合、チームコンディションや対戦相手に合わせて幾つかの戦術のバリエーションを持つことが必要だったのです。

攻撃の引き出しが少なかった

もう一つの敗因は戦術的な問題ではなく個の力です。日本には攻撃のリズムに変化を持たせられる選手がいませんでした。ドリブルを武器にした突破力のある選手はいましたが、中盤でタメを作りながらゲームのペースに変化を与えたり、味方の攻撃参加を引き出すような司令塔的な存在がいなかったのです。

関塚監督は大会前にオーバーエイジ枠(24歳以上の選手)として遠藤保仁の召集を求めていましたが、クラブチームと話が折り合わないためにこれを断念。代わりに中村憲剛を召集しようとしたものの、これも見送られてしまいました。オリンピックにどちらかの選手が加わっていれば、また違う展開を見せていたかもしれません。逆に言えば若い世代に本格的なパッサーを育てるのも急務だと言えるでしょう。

総括

惜しくもメダル獲得を逃した日本ですが、大会前に期待されていなかったチームがベスト4という結果を出したことは予想外の健闘でした。2014年のワールドカップに向けて、A代表にU-23の若手が融合すれば面白いチームに仕上がりそうです。今大会の経験を糧にして日本代表の今後の活躍に期待したいと思います!

関連リンク

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