先日の休日の話。 転職して1週間、初めての休日がやってきた。自宅の周辺はまだまだ知らないことが多く、「散策したい」と思っていながらも外は生憎の雨・・・。もちろん引っ越したての土地で友人と呼べるほどの相手もいない。そうだ、アレをしてみよう。以前から「やってみたい」と思いながら、なかなか出来なかったことがある。今日はその日だと思った。
一人カラオケ。そう、いま一部で話題の通称「ヒトカラ」である。なんと今や「ヒトカラ」はwikipediaに掲載されるほど1。立派な現代用語なのだ。
1.おひとり様お断り・・・??
今まで「ヒトカラ」に縁こそなかったが、筆者は無類のカラオケ好き。そして、毎晩(筋肉が落ちてゆるくなってきた身体をなんとかすべく)ランニングをしているが、たしかそのコース上に大手チェーン某店があったはず・・・!かくして、巷ではすっかり浸透した「ヒトカラ」をしてみようと思い立ったのである。
と、意気込んでみたものの、雨こそ降れど今日は日曜日。カラオケ店は混んでいるのではなかろうか。はたまた「おひとり様お断り」なんてことはないだろうか。かつてカラオケ店でのアルバイト経験があるが、そのお店に限って言えば、そもそも「ヒトカラ」を見たことすらなかった。・・・・・。猛烈に不安になった筆者は早速ホームページで検索。 行こうと思っていたお店は「ヒトカラ」は可能なのか・・・。
2.予約「2名様~」
某店のホームページを見るものの、そもそもどう調べれば良いかわからない。カラオケで有名ではあるが、パーティとしての利用を訴求したいらしく、カラオケのコースがどうなっているのか・・・。そうこうしていたが、行こうと考えていた店舗ページから予約ページを見つけた。
考えてみると予約ページはありがたい。なにせ「一人でカラオケ」だ。「この日曜日に一人で何やってんだ」という寂しい気持ちは少なからずある。そんな時に、カップルや団体の脇で「一人で」と受付をするのは・・・、ちょっと。 なるべく帽子を深くかぶり、最低限の手続きはさっと済ませたいもの。予約をしていれば幾分ラクだろう。そう思って予約ページを開いてみると・・・予約人数、「2人」から始まる小窓が開いた!! 世の中には「ヒトカラ」専門店まで誕生しているが、あんなものはマスメディアが作り上げた文化でしかない。カラオケとは元来、友達やカップルで行くものだ。「おひとり様」が予約とは笑わせる・・・! (╯⊙ ⊱ ⊙╰ )
・・・全くそんなこと言われていない。言われていないが一人ということに、自分自身後ろめたさがあるようだ。そんな声が聞こえた気がした。
3.「新着メールはありません。」
そうして家を出た。道中はそれでもワクワクする。カラオケはやはり好きだ。「某テレビ企画『帰れま10』のように、採点機能で全国1位を獲得するまで帰らない」っていうのはどうだろう・・・。「カロリー表示機能で合計1000kcl超えるまで帰らない」でも面白いな・・・。考えていたら店についた。国道沿い、駐車場には車がたくさんある。そのまま店に入ろうとしたところで、急に足がすくんだ。同じ年代と思しき男女の若者たちが、6人で店に入ろうとしているではないか!!
これはえも言われぬ恐怖だった。男女6人、友人同士で遊ぶときはやはりそれなりにオシャレというものだ。一方筆者は、誰とも会う予定がないのでわりとくたびれた服装である。 思わず筆者は入口手前でくるっと半回転し、携帯の画面を開いた。電話もメールも一切来ていないのに。
料金表、ヒトカラーにはリーズナブルな値段です 駐車場から6人の男女が楽しげに・・・
1(Wikipedia) ヒトカラ
4.最初にして最大のヤマ場
なんとか、同世代と思しき彼らを先に譲ろうと思ったが、それではあまりに自分自身カッコ悪い!!!そう考え直し、勢い余って堂々と入店してしまった。
店員「いらっしゃいませー!」(教育が行き届いているのか、元気がいい。しかし、その元気さは今の俺には必要ない・・・)
頭でぶつぶつ言いながらカウンターに立つ。すると、
店員「ご友人などお先に入られてますか?」筆者「いやっ・・・一人です。(小声)」
(あああ、やっぱり「おひとり様」は眼中にないのか。)
店員「はい♪おひとり様ですねー」(復唱すんなあああああ)
どうでも良いがかなり可愛らしい店員である。こういう一人の時は「店員が可愛い」というのも何だか嫌なもんだ。だが、頭の中は小心者でも見た目は堂々と。堂々と。堂々と・・・。あまり周りを見ないように受付を済ませ、指定された部屋へと向かった。こうして、最初にして最大のヤマ場を超えた。
あとは楽しいカラオケである。
5.僕らはヒトカラー
さて、ようやく「ヒトカラ」開始である。世の中の「ヒトカラ」をする人はどういう風に歌うのだろう。世の中の「ヒトカラ」をする人なりのストレス発散か、それとも歌の練習か、それとも採点ゲームを楽しむのか。世の中の「ヒトカラ」をする人は何を考えて歌うのか。世の中の・・・あー面倒くさい!
その昔、安室奈美恵をリスペクトし、安室奈美恵の恰好を真似た人たちを【アムラー】と呼んだそうだ。 以下、世の中の「ヒトカラ」をする人を【ヒトカラー】と呼ぶことにする。ポケモンみたい・・・
さて、余談が過ぎたが、ヒトカラーたちはどういう楽しみ方をしているのか・・・などと考えていた時点で、「ヒトカラ」の醍醐味を見失っていることにはお気づきだろうか。筆者もはっと気づき、考えを改めた。一人なんだもの!自由でいいのだ。普段周りに気を遣って歌えないような、マニアックな曲でもいい。普段は歌えば気持ち悪いかもしれない、異性の歌手の曲を歌ってもいいじゃないか。何しろ、一人だ。怖いものなんか受付以外にない!
6.ヒトカラーが挑む『全国採点』
そうして筆者は某テレビの企画と同じく、【何かしらの有名な曲で「全国一位」になるまで帰れない】という課題を自らに課した。そこで、ちょうど採点ゲーム『全国採点』というものがあったので起動してみた。少なくとも筆者の場合、友人同士でカラオケに訪れても採点機能なんてものを使うことは皆無だ。
だが、くどいようだが、今回は一人だ。「ヒトカラ」だ。しかもフリータイムだ。 さて、筆者は早速コブクロの『YELL』という曲を入れた。まぁ多くの人が歌っているだろうし、穏やかな曲調は歌い始めの喉にも優しい。歌い始めると、定期的に大まかな順位が出る。「80位以内」から始まり、一時は70位、60位と上昇し、「50位以内」まで上り詰めた・・・!いきなりテンションがあがる。これは・・・!
・・・と思ったのも束の間。今度は下がり始め、なんやかんやで歌い終える頃は「100位以内」という表示になっていた。自分でもそんなに歌い方にムラがあったとは思えないが、こんなものだろうか。そして結果は・・・
なんでやねん!!!!!
腑に落ちない結果が出てきた。ただ、平均点は超えているようだ。よくわからない。
7.刺客は突然に
段々、自分の歌い方なら「平均して真ん中よりちょっと上の順位」程度に落ち着くことがわかってきた。ところが、福山雅治の名曲『桜坂』がハマったらしく、「10位以内」という表示が・・・!!これはいけるかも・・・???(ガチャッ!)店員「失礼しまーす!ドリンク・・・」
(ビクゥッ!)筆者「い、いや、頼んでないです!!!」
世の中には2種類のタイプの人間がいる。歌っている最中に店員がドリンクを持ってきても歌い続けられる人間と、そうでない人間だ。無論、筆者は後者だ。店員のドリンク間違いのやりとりが過ぎると、順位は50位くらいに下がってしまった・・・うぅ。
刺客(店員)は突然やってくる・・・