発達障害啓発週間によせて

去る4月2日は国連で定められた「世界自閉症啓発デー」でした。そして日本では4月2日からきょう4月8日までが「発達障害啓発週間」です。

東京スカイツリーや東京都庁舎など各地のランドマークが「癒やし」や「希望」などを表す青色でライトアップされるなど、全国で様々な啓発イベントが行われました。

わが家の青いものを集めたら、ほぼ全部コッシーでした(^_^;)

表現者が追求するもの

少し話は変わりますが、3月31日にBSプレミアムで「朝まで大人計画テレビ~松尾スズキと25人の仲間たち~」という番組が6時間以上ぶっ通しで放送されていたのを録画して、いま少しずつ観ています。

「大人計画」と言えば宮藤官九郎さん、阿部サダヲさん、星野源さん、荒川良々さん、三宅弘城さん、平岩紙さんなどなど、人気俳優が大勢所属しています。

1988年にこの大人計画を起ち上げた松尾スズキさんは、俳優、劇作家、演出家、脚本家、映画監督、コラムニストなど数々の顔を持っています。「演劇界の芥川賞」と言われる岸田國士戯曲賞を受賞し、小説家としては芥川賞候補に3回も入っている才人です。

俳優としてはいま放送中の大河ドラマ「いだてん」に落語家・橘家圓喬役で出演中。3月いっぱいまで放送されていたテレビ東京の深夜ドラマ「フルーツ宅配便」にも出ていました。不気味な眼差しと声を持った、なんとも薄ら恐ろしい感じが魅力です。

いるのが当たり前

さて、この長時間番組の中では松尾さんが2000年に出演したNHKの番組「トップランナー」での様子も放送されました。その中で自身が手がけた舞台「ファンキー!」について話していたことが強く印象に残りました。

この舞台は身体障害者を扱ったもので、番組内では車イスに乗った身体障害者の男性が、スムーズに言葉が発せないながらも一生懸命に話したこと(会場では字幕が出る)に対し、となりにいる車イスの女性が「ごめん!何言ってるかわからない」と言って会場が笑うというシーンが紹介されました。

障害者を題材にしたことについて、スタジオの松尾スズキさんはこう語っていました(多少要約してあります)。

身体障害者の方は一定の割合でいるはずなのに、今テレビでも映画でもほとんど出てこない。『いない風』になってるっていうのは不自然だなあと思うんですよね。

出てくるとしても、いい人だったり汚いことをしない人間だったり、『聖』的な部分を持ってる人間として取り扱われることが多いけど、逆にそれは差別なんじゃないかなって気がするんですよね。

そういう人たちにもいやらしいこと考える権利もあれば、意地汚くする権利もあるし、三枚目でいる権利もあると思うんです。

障害者の方がいて、その人が何言ってるか分からなくて笑いが起きるみたいな、いけないと思っても笑っちゃう部分ってあると思うんですけど、そういう方を実際に支えてきたご家族の方と接してきて考えるのは、そういうことで笑いが起きることは意外と自然なことなんですよね。

年がら年中泣いてられないんですよねそういう人たちがいることに対して。初めは悲しみとかあるんですけど、いることが日常なんだっていう時に笑いも当然起きてくる。基本はリアリズムなんですよね、ああいう人が出てくるっていうのが。

引用元:NHK「トップランナー」より

わが家も娘の妙な表情や謎の言葉、突然始まる歌、へんてこりんな動きに日々大笑いしています。わたしがここで娘についていろいろ書いているのも「障害者がいる・見える風景が世間一般の日常的なものになってほしい」という理由からです。

同じ学校に行きたいし、同じお店で食べたいし、同じところで遊びたいけど、今の日本ではなかなか難しい…。

そのために閉じこもりがちなご家族もたくさんいます。すると障害者をあまり見たことのない人は「どう接したらいいかわからない」「怖い」という反応になってしまいます。無理もありません。

でも松尾スズキさんも言っていたように世の中には一定の割合で障害者は「いる」ので、「当たり前にいる風景」が「みんなの日常」であってほしい。そうすれば怖くもなんともないことがわかります。

1年間に1度、「障害者が特別なチャレンジをしている姿」を24時間まとめて紹介してくれるテレビもすごいですが、「障害者のいる日常」を毎週30分紹介してくれてもトータルの時間は同じようなものだし、わたしの理想に近いなあと思います。つらい時も楽しい時も普通の時も。特別なにもせず、ただ「いる」だけでもいいと思います。

その上で「やっぱり関わりたくない」という方もいるでしょう。健常者どうしの付き合いだって合う合わないはあるんですから、拒絶されることも含めて「当たり前」だと思います。

違いを褒めよう

さて、「障害者が当たり前にいる風景」と言えば、世界的に有名な子供番組「セサミストリート」にはASD(自閉症スペクトラム)の女の子キャラクターがいるって知ってますか?

Meet Julia・ジュリアの紹介【日本語吹替版】

セサミストリート日本公式。ジュリアちゃんが初登場したときのものです。
ジュリアちゃんについて英語版では「autism(自閉症)」と言っていますね。

このジュリアちゃんの行動や言動はASDの子に見られる特徴的な部分を見事に再現しています。それを知らないビッグバードは「嫌われちゃったのかな」と落ち込んでしまったんですね。

それにしてもこのジュリアちゃんの再現度の高さがスゴイです。眼球が動かない人形なのに「ああ、こういう目線するよね」って共感できるんですから不思議です。

それに、ぴょんぴょん跳ねたり手をヒラヒラさせる感じなんかもう完璧!

それもそのはず、ジュリアちゃんの人形を動かしている人は、ASDの息子さんを持つお母さんなのです。

動画が終わった後のスナップショットでジュリアちゃんひとりだけが「カメラを見ていない」のも完璧ですね。うちの娘にそっくりです。かわいいなあ(*^-^*)