ことしも福島のおばちゃんから新米が届きました。30kgの袋でドーン!と届きます。袋の重みをずっしり感じながら運んでいると、思わず顔がほころんでしまいます。
福島県は全国でも有数の米どころ。生産量は全国7位で、毎年発表される「食味ランキング(日本穀物協会)」でも最高においしい評価である「特A」ランクの常連です。実際とても美味しいので、毎年この新米が届くのを楽しみしています。
福島のお米の現実
福島県では毎年この30kg入りの袋にして1,000万袋以上の米が生産されます。そしてそのすべてについて放射能を測定しています。「1,000万袋ぜんぶ」ですよ!それが「全量全袋検査」です。
「米1kgあたり100ベクレル」を超える放射能が測定されると、そのお米は出荷できなくなります。ちなみに、この3年間、この基準を超える放射能が測定された袋は「ゼロ」。1,000万袋×3年間で「ひとつもなし」です。
でも、わたしがふだん行くスーパーで福島産の米を見ることはまずありません。理由は「売れないから」です。
世界にも例のない「全量全袋検査」を実施しており、しかもここ3年間は基準値を超える米が「ゼロ」。なのに売れない。
「国が決めたその”基準”は確かなんだろうか」
「よくわからないけど気になるから買わない」
「他産地米と並んでいたら福島産はやっぱり選びにくい」
などなど、いろんな考えがあります。それは仕方のないことだと思います。
でも、根拠のないことを煽って福島県産品を貶めるような行為は断じて許されません。一刻も早く風評被害をなくして、福島県のお米が正しく評価されることを望みます。
実はみんな食べている福島のお米
じゃあ福島のお米はどこへ行っているのか。実は「業務用米」としての流通量が増えています。2015年産のお米を例にとると、震災前には福島米の出荷先としてほほぼゼロだった「中食業者」が37%にまで拡大しています。
業務用米といってもその銘柄は「コシヒカリ」や福島県が独自に開発したオリジナル米「天のつぶ」などの美味しいブランド米。これがコンビニエンスストアのお弁当やおにぎりになったり、外食チェーンのメニューに使われていたりします。
なにしろ「特A」の常連である福島のお米です。個人的にここ数年コンビニのおにぎりがすごくおいしくなったと思っていたのですが、それは福島米のおかげなのかも知れません。
ただし業務用米として出荷される場合は、値段がどうしても安くなってしまうそうです。同じように丹精込めて作った…いやむしろ仮にセシウムが土に含まれていたとしても、それを稲が吸わないような工夫や努力を重ねて育てたお米。しかも手間と費用をかけて検査したお米なのに。
全袋から抽出へ
この「全量全袋検査」について、福島県では「2020年にも果物や野菜と同じモニタリング(抽出)検査に切り替える方針」を決めています。
主な理由として挙げられているのが「年間約1,000万袋の検査費が60億円かかる」ことと「国の基準値超えのコメが過去3年でゼロだった」こと。このままいけば「5年連続ゼロ達成」の年にあたる2020年を検査方法切り替えのメドとしています。
全量全袋検査に関しては「風評被害払拭のために継続した方がよい」という意見がある一方で「未だに検査をしていることがマイナスイメージにつながる」という声もあがっているそうです。難しいですね…。
最強コンビ!
わが家ではけさも福島のお米を食べてきました。ごはんの友は同じ福島県の「金山納豆」です。
福島県の旧・表郷(おもてごう)村の金山(かねやま)で作られている納豆は、福島県出身の両親を持つ妻がむかしから親しんできた味。
冷凍保存もできるので、わが家も取り寄せて常備しています。すべすべしたお豆の食感と美しい旨味が最高です!からしは入れない方がいいね!
先週ある朝、わたしがこの納豆を混ぜているのを見て、しゃべれない娘が「おいしー」と言っていました。わたしたちがいつもそう言いながら食べているからでしょうね。
もちろん娘もこの納豆と福島のお米の最強コンビが大好きです。おばちゃん、今年もおいしいお米をありがとね!