ホースセラピーに再挑戦してきました!

昨年の秋、ダメもとで行ってみたら

案の定お馬さんには乗ってくれなかった娘。でもあきらめません。ホースセラピーに再挑戦してきました!

この前々日、毎週通っているOT(作業療法)で、娘はそれまで一度も乗ろうとしなかったブランコに突然乗って先生たちを驚かせたそうです。

この勢いで馬にも乗ってくれないかな、一瞬またがるだけでも上出来だよね、ということでそのOTでお世話になっている先生たち・お友達と一緒に行ってきました。

当日、富士山麓はものすごい霧。やっと霧が晴れたころに到着したのは富士宮市にある「EPO」さんです。

EPOさんは、富士山麓の抜群の自然環境の中で、障害児・障害者が動物とのふれあいや農業を通じて働いたり、学んだり、楽しんだりできる支援施設・事業を運営しています。

つまり乗馬も療育の知識もバッチリのプロ!カフェのごはんやスイーツもすごくおいしいんですよ。

さっそくコミュニケーション

この日こどもたちを乗せてくれるのは3頭のお馬さん。まずはみんなでブラッシングをして「きょうはよろしくね」というご挨拶です。

お馬さんに触れたことでちょっと緊張が解けたこどもたち。さあ、いよいよ乗馬体験です。

1巡目のこどもたちが当たり前のように馬に乗って出発していきます。横にサポートの方がついてくれるとはいえ、ほとんどの子はひとりで乗るんですよ!すごいですねー。

前回挑戦した時に、乗れなかったのはたぶんうちの娘だけだったと思います。とにかくせめて順番が回ってくるまで娘の機嫌が悪くならないよう、娘が見たいもの、歩きたいところ全部に付き合って時間を待ちます。

とにかく行きたいところへウロウロ

そしていよいよ娘の順番が回ってきました。予想通り今回もヘルメットと安全ベストは断固として着用拒否したので、特別にそのままで乗せてもらうことに。

娘はイスにさえじっと座っていられない(学校では座っているらしいですが)ので、OTの先生が先に乗って、その前に乗せてもらうようにします。先生の顔を見てブランコに乗った時のイメージが甦ってくれれば、お馬さんにも乗ってくれるかな、どうかな…。

そして奇跡は起きた

「とりあえずまたがせてみよう」ということでお馬さんの背をまたぐように娘の右足を持ち上げます。足が向こう側までかかったら、すかさず先生が後ろから抱きかかえるようにすると…おお!ちゃんとまたいで座ってます。

高くて怖いかな…でも騒がないからちょっとは歩けるかも…よし、出発してみましょう!

ここで信じられないことが起こります。1歩目2歩目とこわばっていた娘の表情が、3歩目でニタ~っと緩み始め、そのあとはニコニコに!

お馬さんの背中の上下動が楽しいのか、いつしか娘はゲラゲラ爆笑モード。もう楽しくって仕方がありません。畑を1周したところで、これならフルコースでいけそうだと判断し、坂道を登ったところにある馬場へ向かいます。

前々日のブランコに驚いたばかりの先生たちは、この乗馬でさらにビックリ。親の私たちも含めてみんなでキャッキャキャッキャ歓声を上げ、お馬さんの歩みに合わせてみんなで「いちに!いちに!」と言っていたら、言葉が話せない(でも真似はできる)娘も「いっちにー!いっちにー!」と笑顔で叫んでいます。

お馬さんがちょっとスピードを上げると、自分がもっと弾むようになるのが面白いらしく、笑いすぎるあまり「よだれ」が垂れそうなジュルジュルした声色です(笑)。

ホースセラピーとは

「ホースセラピー」は手入れやエサやりなども含めた馬とのふれあいを通じて、障害者の精神機能と運動機能を向上させるリハビリテーション方法。正式には「ホース・アシステッドセラピー」と言います。

犬や猫によるセラピー効果は主に心理面が中心ですが、ホースセラピーは医療、教育、スポーツの要素も併せ持っていて、心と身体の両方に直接的なセラピー効果があるといわれています。ドイツやスイスではなんと健康保険がきくそうですよ。さすがですねー。

いい写真です

「体幹」が弱く、イスに座ってもすぐ背中が丸くなったり、座っているのが嫌になって寝っ転がったりする子も多い自閉っ子は、体幹が鍛えられることにより体力だけでなく自信もつきます。

またお馬さんの体温や肌触り、そして背中に乗っているこどもたちを気遣うようなあの目からは、わたしたちも感じる「癒し」のようなオーラがあります。

それに乗馬って徳川吉宗とか宇津井健みたいでカッコいいし!いいことばかりです。

最後の下り坂だけは少し怖かったのか何度か下りようとした娘でしたが、お馬さんとサポートの職員さんがスピードを緩めてくれたり、ゆっくり進んだりしてくれてなんとかゴールできました。奇跡の乗馬体験大成功です!

締めくくりはお馬さんへの感謝を込めて、こどもたちが家から持ってきたニンジンをあげます。自分で皮をむいて包丁で切ってあげます(娘はできないので、ママが後ろから操りました)。

エサはやってみたいので手は差し出すけど、お馬さんの口が近づくとさっと手を引っ込めてニンジンを落としてしまう娘。でもやっぱりうれしそう。よかったね♪

自分が乗ったお馬さんじゃなくて、なぜかポニーにお礼

小さい頃は、歩道でタイルの色が違うところは歩かなかったり、芝生もいやだ、ちょっとした段差もダメ、などとにかく怖がりでビビりちゃんだった娘。

この日も「一瞬またがるだけでもいいよね」ぐらいのつもりだったのに、まさかあんなにいい顔で乗馬を楽しんでくれるとは思いませんでした。

こんなふうに娘はときどき腹を決めたような顔で「エイヤ!」っと思い切った行動をする瞬間があるから不思議です。娘のことをわたしたち親が「これはできる・これはできない」なんて勝手に決め付けてはいけませんね。

娘がお馬さんのことを忘れないうちに、来月また挑戦することにしましたよ!