冬の東北のイルミネーション三題(宮城県)

東北の冬のイルミネーションとして有名どころと言えば、まずは「SENDAI光のページェント」

今年も定禅寺通のケヤキ並木にたくさんの光が灯された。第31回目となる今年のSENDAI光のページェント、テーマは「未来へつなげる愛の光!」。灯された電球はすべてLEDで60万球だという。

SENDAI光のページェント

31回を数えるイベントだから、光のページェントには仙台出身の人たちは言うに及ばず、東北各地からも多くの人がやってくる。東京など県外で働いている人でも、この季節になると光のページェントを見に行かなければと、そわそわしてしまうという話も。

定禅寺通のケヤキ並木の魅力は、道路の両側のみならず中央分離帯にも2列の並木があって、その間が遊歩道になっていること。合計4列のケヤキ並木が光に包まれる様子は圧巻のひとこと。

家族への愛、恋人や大切な人への愛、地域への愛、誰かを思いやる気持ちなど様々な愛を感じる機会を提供していきたい

引用元:概要 | SENDAI光のページェント

引用したのはSENDAI光のページェント実行委員長のコメントの一部。期間中に沿道や遊歩道に集った多くの人たちの中には、家族連れや恋人同士で手をつないでいる姿もたくさん見られた。光のページェントはただ美しいだけではない、愛の光だと実感した。

今年のSENDAI光のページェントは12月31日まで。お早めに!

定禅寺通

女川駅前を彩る光のアート

女川駅前では「スターダストページェント海ぼたる」が人々の目を楽しませている。

暖色系の照明が基調の女川駅の駅舎と、イルミネーションの青と白の光のコントラストがなんとも独創的だ。ツリー型のイルミネーションのほか、広場の芝生にもまるで海の波を思わせるようなイルミネーションが設置され、訪れる人たちにはイルミネーションをバックに記念撮影する人も多数見られた。

「スターダストページェント海ぼたる」という名称は、震災前から行われてきたイルミネーションと同じもの。震災を越えてイベントを受け継いでいこうという気持ちも感じられる。

振り返ってシーパルピア女川、ひいては海の方向を見ると、いつもと同じシーパルピア女川の夜の風景。

特別なイベントとしての灯りもいいが、いつもながらの夜景がさらに輝くようになってほしいと感じた。

女川「スターダストページェント海ぼたる」

三角公園の手作りイルミネーション(東松島矢本)

東松島市矢本駅前の国道から一本海側に入った通りを行くと、カラフルなイルミネーションが目に飛び込んでくる。

場所は自衛隊の官舎近くの愛染院跡。通称「三角公園」と呼ばれる公園だ。

この公園のイルミネーションは震災前年の2010年に始まり、震災後も地域の人たちの強い希望で続けられてきたものだという。

ツリーやトナカイなど色とりどりのイルミネーションの中には、航空自衛隊松島基地を拠点とするブルーインパルスをモチーフにしたものも。そんなところにも地元ならではの暖かみがあふれているように感じられる。(東松島はもちろん、石巻など隣接する地域でもブルーインパルスは地域を代表するスターなのだ)

仙台のページェントみたいに大勢の人が詰めかけるイルミネーションではないが、近所の人が子連れでやってきたり、自転車に乗った人が立ち寄ったり、中高生がイルミネーションに集まっておしゃべりしていたり。

こんなイルミネーションもいい。その場にいるとこころが明るくなるステキなイルミネーションだ。

通称「三角公園」

イルミネーションではないけれど

イルミネーションではないが、上の写真は石巻市の日本製紙の工場の夜景。石巻市民にとっては町のシンボルともいえる工場で、「日本製紙の煙突の煙を見ると、頑張ってるんだなと思う」と話す人も少なくない。

冬の宮城県の夜景を何カ所か回って、単なるイベントというだけではない、人々の希望につながる光が集まったものがイルミネーションなのだと実感できた。

どこの町にもその町だけの夜の景色がある。そんな、その町だけの景色がより輝きを増していきますように。