年間8000万人以上の外国人旅行者が訪れる世界一の観光大国であるフランス。見どころがたくさんある同国でも、花の都・パリは旅行者のほとんどが行く街です。しかし、そんな人気の都には行かずに――行きたかったのですが――、私がフランスで唯一訪れた街が、同国東部にあるシャモニーです。
ヨーロッパの山岳リゾート地、シャモニー
シャモニーの正式名称はシャモニー=モン=ブラン。その名の通り、ヨーロッパアルプス最高峰のモンブランの麓、標高約1000メートルの場所にある美しい街です。訪れた一番の目的は山に登ることでした。
このモンブランの麓にある街には、イタリアのクールマイユールから入りました。アルプス山脈を貫く全長12キロメートルもある長いトンネルを抜けた先にあるのがシャモニーです。
第一回の冬季五輪が開催されたことから、スキーの聖地として広く知られていますが、登山者にとってもこの街は特別な場所です。
その理由は1786年、モンブランの初登頂がシャモニーを基点にして成し遂げられた
ことによります。登頂者はこの街に住んでいたミッシェル・パカールとジャック・バルマです。
このヨーロッパアルプス最高峰への挑戦が近代登山の幕開けとなり、以降、シャモニーは「近代登山発祥の地」として登山者にとっても聖地となっているのです。
そんな登山者が憧れる街には、アルペンムードが漂っています。
周囲を美しい山々に囲まれたロケーションに、日本の高原リゾートにも見られるようなペンション風のオシャレな建物が建ち並び、その中をアルプスの雪解け水が作り出した小川が流れています。観光客に混じり、登山者やトレッカーと思われる人たちも多く目にします。
これは個人的な思い出によるものですが、街なかにあった登山用品店もアルピニストの聖地のムードづくりに大きく貢献していました。
観光旅行がメインの目的であった私は、十分な登山道具を持っていませんでした。そのため、足りない装備を現地でレンタルをしたのです。
しかし、なかには貸出を行っていないものもあったので、それらを購入するために街の登山用品店を数軒見てまわりました。
おしゃれなブランドの服を売っているお店に入ってもなんとも思いませんが、山道具やアウトドア用品が並んでいるお店では、商品を見ているだけで楽しいものがあります。さらにこの時は実際に使用する装備を探していたわけですから、心が踊らないわけがありませんでした。
冬になるとおそらくスキーリゾートとしての印象が強くなるシャモニーも、雪のない季節はロケーションや雰囲気など、アルピニストやハイカーなどをワクワクさせる要素がたくさんあるのです。
街に滞在していた数日は、アウトドア用品店を回ったり、近郊のトレッキングルートなどを歩いて満喫していました。
コースは散歩の延長ようなものから本格的な登山ルートまであり、多くの人が楽しめる懐の深さがあります。
日本の山とは異なるヨーロッパの山岳ムードが漂う街に滞在しながら、自然を楽しむひとときは至福の時です。フランスを訪れた際には花の都だけでなく、山に咲いている本物の花を見にシャモニーを訪れてみるのもいいですよ☆