【2016年春のさくら】伊豆の山懐にいだかれて咲く花[函南町]

車窓から見える桜があまりに美しかったので途中下車。

熱海から長い長い丹那トンネルを抜けたJR函南駅。駅舎から出ると、今ぞさかりと咲き誇る満開の桜が出迎えてくれた。

今年は桜の開花の後に寒い日が続いた「おかげ」で、先週・今週と2週続けて週末の桜を楽しむことができたが、青空の下の桜は9日の土曜日が最高だった。とくにこの日、伊豆半島の鉄道駅の中でもとくに奥まった場所にある函南駅周辺の桜は、車窓からちらっと見ただけで「ここで降りよう」と即・途中下車したほどに美しかった。

それほどに、長い丹那トンネルを抜けた瞬間に広がった山あいの里の光景は魅力的だった。新緑の山に点々と咲く桜花の美しさが目にしみた。

とはいえ、函南町を山間の里なんて言うと地元の人たちに叱られてしまうだろう。函南町は全国の「町」の中で人口規模では26位。その人口は、熱海「市」や御前崎「市」、下田「市」をしのぐ。のみならず、全国的に見ても岩手県大船渡市とほぼ同じ、釜石市や山口県の長門市、岡山県備前市、鳥取県境港市、そして岩手県陸前高田市を上回っている。

別に人口が多ければエライなんて話ではないが、函南町は町ながら、町域全体で見ればかなり開発が進んだ土地柄ということはできるかもしれない。そんな中、JR函南駅の周辺は、いまも里山の風情を色濃く残している。だからこその桜の花の美しさがここにあった。

余計なご託はほどほどに、函南の里の桜をご覧下さい。人々のくらしの空気があふれる中に咲くさくら花の美しいこと。桜並木や桜公園の一面をピンクに染める桜もいいが、里山に抱かれるように咲く花の愛おしいこと。

桜と坂道は相性がいいのか。不思議な情緒を感じてしまう。

天候のせいか、ソメイヨシノと同じ時に、芽生えの緑と白い花びらが美しいオオシマザクラも咲いていた。

薄ピンクのさくら花に慣れた目に、オオシマザクラの純白は眩しいばかりだ。

その隣にはソメイヨシノ。ピンク色と純白が奏でる春のうた。

日当たりのいい函南駅からてくてく歩いて行く。クルマが走り抜けていくと桜の花の花吹雪。

花の命の短いこととは知りながら、もう少し見詰めていたい今年の桜花です。

ふだんの年なら、桜前線は徐々に北上し……って話になるところですが、今年は去年に引き続き、すでに北関東では満開。東北でも宮城県石巻市では満開。岩手県南部の大船渡市では満開の木とこれからの木が入り混じり、遠野市辺りでもそろそろ満開近く咲いている木もあるのだとか。

急ぎ足で咲いてくれた今年の桜、ゴールデンウィークに東北に行っても見られそうにないのは残念だけど、早い春の訪れをよろこびたいですね♪

これから満開の地方のみなさん、どうぞよいお花見を♪

早々に散ってしまった地方のみなさん、葉桜を楽しみましょ♪