【シリーズ・この人に聞く!第19回】歌って踊れる母パフォーマー 中島奏さん

土曜日の夕方(午後6時~42分)、NHKをつけると1週間分のニュースや気になるテーマを取り上げ、子どもが興味をもって見られる情報生番組をご存知でしょうか。中島奏さんは、仕切りの上手なお母さんです。かと思えば、女優として難しい役柄を演じ、また、歌のステージも圧倒的な歌唱力をもってパワフルにこなす。どれが本当の中島奏さんなのでしょう?!実生活では16歳のお子さんを持つお母さん。興味津々でインタビューしてみました。

中島 奏(なかじま かなで)

岐阜県出身。10月3日生まれ。特技は歌、ダンス。趣味は飲酒。
「ミュージカルアクションコメディー」を目指すスーパーエキセントリックシアター所属。舞台をはじめ、TVや映画、CMで活躍中。歯切れのいいセリフと包容力溢れるお母さんのイメージでありながら、 奥深い役柄も演じることができ、この世代では稀有な演技力をもった女優。

<TV> NHK「週刊こどもニュース」(05.4~)、月曜ドラマ「麻婆豆腐の女房」(03) / TBS「寛太です!」(03)、 「やんパパ」(02)、「爆笑深夜族」 / CXディビジョン1「15歳のブルース」(05) 「離婚弁護士スペシャル」(05)、金曜エンタテイメント「神様、何するの・・・」(03), ドラマブロードウェイ「女子寮の6つの扉208号~君こそスターだ!」(02)

<CF> H.I.S(06)、日本興亜損保(05)、とろけるシチュー(02)、三井住友VISAカード エアロビ篇(02)

専業主婦歴12年目の出会い 復活した女優魂

――奏さんはかつて劇団員で、ずっと専業主婦をされていたとお聞きしました。復活されたキッカケは何でしたか?

24歳で結婚のため劇団を一旦辞めました。ずっと普通の主婦として子ども中心の生活を送ってきましたが、5年ほど前に、座長(三宅裕司さん)の奥さんから電話がありまして。「ねぇ、一緒にダンスしない?」とお誘いを受けました。主婦グループ「ベーキングパウダーズ」というユニットで、歌やダンスをしていました。それぞれ家族がある身ですので、負担を掛けない程度にホールを借りて発表会をし、好評を博して満足しまして。20人近くいたメンバーから、最終的に数人が残って活動を続けています。

――長いこと眠っていた細胞や演劇の渇望が目覚めたのでしょうね。いろんな方との出会いで刺激されましたか?

はい。なかでもアーティストの秦万里子さんとの出会いは大きかったです。出会うことで感覚を共有できた。歌の弱点を指摘して伸ばしてくれたり、痛いところを押されて「うわ~イタ気持ちい~」みたいなツボ押しの名人です。着眼点をあてて、笑いにもっていける才能があるんですよ。機知に富んだところはスゴイです。いつでも新しい歌には課題が込められていて、常に新しいことを乗り越えないと。以前はできたのに、今できないと悔しいですしね。

――そもそも女優を目指したのは、いつ頃、なにがキッカケとなったのですか?

中学はソフトボール部、高校はバレーボール部所属で体育会系でした。練習に明け暮れている校庭の隅のほうで、演劇部が発声練習などしているのを尻目に「なんか演劇やっている子って暗~い」と思っていました。それが、「演劇っておもしろい!」に覆ったのは、泉ピン子さんや梅沢富美男さん、萬田久子さん、西田敏行さんなどが出演していたあるテレビ番組のドラマシリーズを観て、すごくおもしろかった。そこから「私もお芝居やってみたい!」と思うようになりました。高校3年生で進路を決めないといけなかったので、寮つきの都内の演劇学校へ進むことにしました。

――学校に通ったからといって皆が俳優になれる保障はありませんよね。チャンスはどうやって切り拓かれましたか?

演劇学校の学生になって1年半の頃、卒業を目前にして、三宅裕司さんと小倉さん、桑田さんのお芝居「あ!うんこついてる!」というのを観て、またまたおもしろくて感銘を受けたんです。運よく劇団員募集のオーディションがあって受けました。19歳で劇団員となってミュージカルアクションコメディーを演じることになりました。お客様に見えないところでの鍛錬がすごいです。ともあれ、役者は体力です。体力あっての気力です。

アーティスト秦万里子さんとの爆笑コラボライブは満員御礼。TVのニュースや週刊誌でも取り上げられ話題になりました

教えられることが多い「週刊こどもニュース」

――NHK『週刊こどもニュース』は奏さんが5代目のお母さん役だそうですね。どんなことが求められる役柄ですか?

1週間のニュースのダイジェスト版と、気になるニュースを取り上げるのと2本立て放送しています。原稿やVTRをディレクターからもらって、その言葉の意味などを一つひとつ検証し、わからないことは子どもに対して説明できないので、そこで勉強して教えられるようにします。一言でいうと、ニュースの橋渡し役。難しいことでも、子どもがわかるようにカンタンに伝えるため、毎週金曜日は勉強です。

2005年4月から、NHK「週刊こどもニュース」(毎週土曜日・午後6時10分~42分生放送)にお母さん役として出演中

――歌って踊るパフォーマーの奏さんを存じ上げていると、この番組の奏さんは別人のようにもお見受けしますが……。

うふふふ。どっちも私なんですよ。私もこの番組に参加した当初、おもしろいことを求められているのかな?と葛藤もありました。自分ならではの役柄を……なんてね。でも、どちらも私なんだと受け入れたらラクになりました。番組に出演している子どもたちにニュースをわかってもらうことが第一だということに気付いたの。子どもたちに、ニュースについて純粋な感想をもらえるのもおもしろい。これってどうしてかな?なんだろう?とクエスチョンになることは大人だって同じ。自分が発見したことを伝えたいですね。

――奏さんは子ども時代、どんなお子さんでしたか?

楽しいことが大好きでサービス精神旺盛でした。女の子同士の仲間割れとか、面倒くさいことが苦手でしたね。岐阜県出身で、小学4年生、中学3年生という微妙な時期に2回親の仕事の都合で転校しています。でも、転校はさびしいことではなくて、友達が倍増える!という考えでね。自分でいうのもナンですが、切り替えが上手かったの。どこにいても笑っていられるタイプでしたね。

――その明るさは人に教えられてどうなることでもありませんよね。その性質をいかして何か習い事をされていました?

そうですね。エレクトーンと、習字、そして絵の教室に通っていました。でも転校がきっかけでどれも辞めざるをえないことになりました。辞めるのもはっきり自分で、「これは楽しくないな」と言って親に伝えたりしていましたね。うやむやにすることなく、楽しいことは積極的に取り入れていました(笑)。ほんと、今も変わりませんねぇ。

子どもの背中には、天使の羽が生えている!

――ところで奏さんの息子さんは高校2年生とか。思春期は通り過ぎましたか?

いえいえ16歳、遅めにやってきた思春期の真っ只中です(笑)。生まれた時、58センチもあったジャンボベイビーで歩くのも遅かったですし。今は身長も186センチ、どこまで伸びるのだろう?って(笑)。何を考えているかわからない時期です。それでも、スーパーや映画に誘えばまだ一緒に来る、みたいなかわいいところもあります。体の成長に心が追いつかないのかもしれないですね。

2004年の「タイツ祭り」の中の『うまつり』のシーン。役名は「オペラキャッツ」

――素直な息子さんですね。子ども時代から何か習い事はしていらしたのでしょうか。

最初に流行っていたので入会させたのが、スイミングクラブ。3~4歳の頃ですね。でも毎回ワンワン泣いて、終わる頃にやっと泣き止んでいたのですぐ辞めました。小学1年生から習字教室に行きたいと言うので通わせましたが、なんというか教室の空気が合わなかったようでこれもまたすぐ辞めました。それで、1年生から6年生まで続けたのが少年野球チームです。私も土日祭日もほぼ皆勤で応援に同行しました。

――小学校時代それを成し遂げたのは親のサポートあってのことで素晴らしいです。中学でも野球を?

それが中1で足を怪我してから野球部をあっさり辞めてしまって、転向先は吹奏楽部でした。パーカッションを担当してまして、ドラムを叩いたりね。今も音楽は続けています。好きなことがあってよかったねという感じです。

――やはり奏さんのDNAを引いていますね。旦那さんは、何か言われますか?

まったく干渉しません。子どものことも、私のことも。好きなことをやっているし、とめてもやるだろうと思っているみたいです(笑)。

――寛大ですね。息子さんのお話に戻りますが、コンサートの時のご子息ネタはとても微笑ましくて……。愛していらっしゃるんだなぁ~と、しみじみ思います。そういうストレートな母の愛を息子さんはどんな想いで受けとめていらっしゃるのでしょう。

例えば買い物に一緒に行くでしょう。重いものを買って、袋分けして3つにするとしますよね。「はいこっち」って、一番軽い荷物は私に渡して、あと2つの重いほうは息子が持ってくれる。そういう気遣いが自然とできるのもうれしいな~なんて。夫ではなく、息子にしてもらうとうれしいものです。

――本当に素直でうらやましいですね。それもDNAなのかな~。では読者の親御さんへメッセージをお願いします。

子どもって背中にエンジェルの羽があるんですよ。小さい頃は特にわかります。うちなんて今でも羽が見えますもん(笑)。子どもは天からの授かりものですから、親の思うようにいかなくて当然です。やさしさをもって接すれば、天使の羽は消えませんよ、きっと。

編集後記

――ありがとうございました。舞台をはじめテレビ、映画でも活躍されている中島奏さん。その声量とパフォーマンスは一度コンサートで知ったら、何度も足を運びたくなる素晴らしさです。いろいろな顔をもたれて、キャラクターを器用に使い分けされているのかと思えば、全部が自分とサラリとおっしゃる。そこがまた女優さんなのかもしれません。これからますます円熟味溢れるおふくろさんとして、色々な場でのご活躍を楽しみにしております!

取材・文/マザール あべみちこ

活動インフォメーション

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知ることができます。
●コンサート情報
2007/9/27(木)
秦万里子コンサート 【ゲスト】中島 奏
@スイートベイジル 六本木 18:00開場 19:30開演
 ミュージックチャージ:4500円
◆お申し込み:スイートベイジル139
Phone:03-5474-1395
ローソンチケットでも発売中!