ヒロシマからの道「訪れる人の力を集めたら…」

平和記念公園からまっすぐ向かったその先に原爆ドームが見えます。「過ちは繰返しませぬから」という有名な言葉の先に原爆ドームが見えるのです。

ここは「繰返しませぬ」という決意の出発点? それとも原爆ドームからの帰着点?

複雑な、不思議な気持ちになってしまいます。

この日は朝から小雨が降りしきっていました。雨降りなのにたくさんの人が原爆ドームや平和記念公園、そして広島平和記念資料館にやってきます。原爆が広島の町を破壊して70年以上になりますが、それでも、雨降りでも、たくさんの人がこの場所を訪れます。

若い人もいます。修学旅行の子供たちもいます。お年寄りも、中年の人たちもいます。外国人もたくさんいます。アジアの国の言葉もあちこちで聞かれます。たくさんのたくさんの人たちが、原爆ドーム、平和記念公園、広島平和記念資料館を訪れます。資料館の中はたいへんな混雑ぶりです。

展示室を出た先にある「2020ビジョン(核兵器廃絶のための緊急行動)」のブースでは外国人の男性が署名を書き込んでいました。おそらくここにやってきた全員が原爆の悲惨さに心を傷めることでしょう。人類の平和を願わずにはいられないでしょう。

雨降りの日曜日、それも朝早くからたくさんの人がやってくるのだから、これまでにこの場所を訪れた人はたいへんな人数だと思います。その全員が「過ちは繰返しませぬから」と強く決意したら、もうとっくに地球上から核兵器は消滅しているのではないか、そう思えるくらいです。しかし、現実はそうではありません。

私たちは核兵器の悲惨さと人間の心の闇を学ぶためにヒロシマを訪れます。そして、訪れることと同じかそれ以上に大切なことに気づきます。それは伝えつづけていくことです。「ヒロシマからの道」こそが、繰返さぬ未来につながっているのだと知りました。

自分の眼と耳と鼻と口と指先で受け止めながら、ヒロシマからの道を歩いていきます。