サブドレン計画とはかけ離れた汚染度の水が、同じ港湾内に排水されている
ご存知通り、サブドレン・地下水ドレンの排水は今年9月14日から実施されている。これは地元の復興のためにとの漁業関係者らの苦渋の選択があったからこそ実現にこぎ着けたものだ。海が汚されるリスクを避けたいのは、漁業関係者のみならず国民ぜんたいの願いだ。だからサブドレン・地下水ドレンの運用では、非常に厳しい運用目標が定められている。
政府によって告示された濃度、WHOの飲料水水質ガイドラインよりもはるかに厳しい運用目標なのがわかる。これは直接太平洋に排水されている地下水バイパスの運用基準と同様のものだ。(全ベータは地下水バイパスの方が「5」と高くなっている。全ベータ以外は同じ値)
その一方で、K排水路排水口の水の放射能はどうか?
10月に入って分析結果は比較的低い値で安定しているが、同様に海に排出されるサブドレンや地下水バイパスのセシウムで1ベクレル、全ベータで3ないし5ベクレルという運用に比べると明らかに高い。しかも、「降雨により数値が上昇する」こともしばしば発生しているのだ。
赤枠で囲んだ分析結果には3桁の数値が並ぶ。東京電力は「降雨による表層土の流入のため上昇したものと考えられる」と注釈するが、表層土が混入したせいだろうがなんだろうが、汚染された水であることに違いはない。
サブドレン・地下水ドレンから汲み上げられた水は処理されて放射能を極力低減する努力が払われた上で港湾内に排水される。
一方、排水路の水は降雨などの影響で放射能が上昇しても、同じ港湾内にそのまま排水される。
K排水路の運用とサブドレン・地下水ドレンの運用に整合性はあるのか? これ、おかしいでしょう? そもそもなぜこんな状況が容認されているのか?
言うまでもなく、港湾は太平洋に開かれている。港湾内だから汚染水を垂れ流してもいいという理屈はない。地下水は処理した上で運用するが、雨水はそのまま流すという運用方法はまったく道理に合わない。
過酷な環境の中、多くの作業員を動員して進められているK排水路の本設工事。その意味はいったいどこにあるのだろうか。