先日、東北のブロック紙・河北新報で東日本大震災で救えた可能性が高かった災害死について報じられていました。震災発生から4年半が過ぎ、記憶が薄れていた時に改めて報じられたこの記事をご紹介すると共に備えについて考えてみたいと思います。
記事によると、東日本大震災震当日から約20日間、主要な病院における患者の死亡例を調べた結果、通常の環境であったならば助かったと考えられる災害死が岩手県と宮城県で少なくとも143人いたとのことです。
防ぎ得た災害死の主な原因を見ると、「医療介入の遅れ」、「医療物資の不足」、「病院のライフライン途絶」、「避難所や自宅の環境悪化」などとなっており、大規模災害から命を守るための支援強化の必要性が訴えられています。
大地震や津波が発生した状況下で、通常と同じ環境を求めるのは難しいものがあるかもしれませんが、このような原因で命を落とす方がゼロになることを目指す努力が必要なのは言うまでもないかと思います。
医療物資の多めの備蓄及び被災した地域外からの速やかな搬送、自家発電能力等の強化など、多くが病院側の災害対応能力強化が必要とされるものですが、個人でも暑さ及び寒さ対策、薬やマスクの備蓄を始め、「避難所や自宅の環境」を少しでも良くするためにできることを検討し、備えておいた方がいいかもしれません。
避難所については自治体や地域住民の方と検討していくことが必要かもしれませんが、自宅の環境についてはすぐにでも行動に移すことができると思います。
例えば災害発生時、必ずしも自宅が完全に失われるとは限りません。避難所に逃げた後、2、3日後に帰宅できる状況になっているかもしれません。また、もし帰宅することができなくても避難所生活を快適に過ごすためのものを取りに戻ることができる可能性もあります。
暖かい衣類や寝袋を損壊箇所からの雨漏りなどに備えてビニール袋にいれておいたり、ワンタッチテントなどがあれば、より快適に過ごすことができると思います。ポリエステル性のフィルムにアルミニウムを蒸着したエマージェンシーシートは簡易的な保温力がある上に雨、風の影響などを緩和することができます。コンパクトで軽いものなので非常持ち出し袋にいれておくのをおすすめします。
特に高齢の方が命を落とす危険性が高いと言われています。お年寄りがいらっしゃるご家庭は十分な準備を事前にしておくことが重要です。
河北新報の記事の終わりに大崎市民病院の山内聡救命救急センター長の言葉として、「医療支援の在り方について、社会全体の問題として議論を深める必要がある」とあります。個人による備え、そして社会全体で改善の機運を高めることによって、一人でも多くの命が救われてほしいと思います。
参考WEBサイト
紹介:sKenji